国立がんセンターは2月6日(金),同センター内国際交流会館(東京・築地)において,米国ウィスコンシン州立大学医学部放射線科准教授のPerry Pickhardt氏による特別講演「米国におけるCTコロノグラフィ最新情報」を開催した。東海大学医学部総合診療学系放射線科学教授の今井 裕氏が座長を務め,CTコロノグラフィ(CT Colonography:CTC)研究のパイオニアであるPickhardt氏が,CTC研究の歴史と現状について報告した。
近年,日本では注腸]線検査や内視鏡検査に比べて低侵襲で,術者の技量差も少ないCTCによる大腸がんスクリーニングが注目を集めている。講演会の冒頭,国立がんセンターがん予防・検診研究センター長の森山紀之氏が,「当センターでの術前CTCではすでに1000症例以上を経験しており,2009年中にCTCによる大腸がんスクリーニングを開始したい」と述べているが,日本でも徐々に普及が進んでいる。
CTCはもともと,1994年に米国で発表され,研究が進められてきたが,Pickhardt氏が2003年にNew England Journal of Medicineに発表した論文(349, 2191〜2200, 2003.)によって,CTCがポリープの検出について大腸内視鏡と同等の有効性があることが報告されると,欧米を中心に多くの研究者がCTC研究に取り組むようになった。
講演では,このようなCTC発展の経緯や同大学における検査の実際,検査技術などのほか,CTCで課題とされる平坦型病変の特徴などが具体的に紹介された。その上で,Pickhardt氏はCTCについて,正確・安全・便利・費用効率的,平均的リスクを持った成人のスクリーニングに適している,内視鏡検診との併用が有用,などと述べ,CTCは強力なスクリーニングツールに十分になりうると示唆した。 |