取材報告

2007
第43回JRS秋季臨床大会と
第35回JSRT秋季学術大会が名古屋で開催


片田和広 JRS大会長 (藤田保健衛生大学)
片田和広JRS大会長
(藤田保健衛生大学)
(写真1)

津坂昌利JSRT大会長 (名古屋大学)
津坂昌利JSRT大会長
(名古屋大学)
(写真2)


ナナオ

テラリコン ナナオ(上)とテラリコン(下)のハンズオンセミナーの様子

イメージインタープリテーションセッション症例展示
イメージインタープリテーションセッション症例展示

機器展示会場風景
機器展示会場風景

 10月25日(木)〜27日(土)の3日間,名古屋国際会議場において,第43回日本医学放射線学会秋季臨床大会(以下,JRS)と第35回日本放射線技術学会秋季学術大会(以下,JSRT)が合同開催された。JRSでは,藤田保健衛生大学の片田和広氏(写真1)が大会長を務めた。PET/CTの登場やMDCT,MRIによる全身撮影がgeneral radiologistの重要性を再認識させるなど,従来細分化の一途をたどってきた放射線医学が統合の方向へと進んでいるとして,「統合へと向う放射線医学」をテーマに掲げた。JSRTでは,名古屋大学の津坂昌利氏(写真2)が大会長を務めた。CT,PET,MRIなどの異なるモダリティの画像をフュージョンすることで大きな診断価値が見いだされるようになった現状を踏まえた上で,さまざまな領域の学問が融合された放射線技術分野の発展をめざして「Fusion and Future(融合と未来)」をテーマに設定した。

 本大会では,JRSとJSRTの合同企画として,特別講演やシンポジウムが行われた。イベントホールでは57社が出展した合同機器展示や岐阜大学大学院医学系研究科知能イメージ情報分野と独立行政法人科学技術振興機構研究基盤情報部の学術展示が行われた。また,一般演題と教育展示のポスター展示や,イメージ・インタープリテーション・セッションの症例写真を同ホール内のシャウカステンに展示。来場者が診断名を記入し,その成績優秀者を発表する企画も行われた。

 25日には,スタンフォード大学のGeoffrey D. Rubin教授による外国招聘講演が行われた。また,合同特別講演として,トヨタ自動車(株)の林 南八氏が,「業種を問わず展開できる"TOYOTA WAY"--トヨタ生産方式の本質と進化(深化)今,何がもとめられているか」と題して講演を行った。同社の歴史を紹介しながら,ITの活用法や人材育成などについて述べた。合同シンポジウム「CTの進歩が社会にもたらしたもの」では,5題の講演が行われた。被曝の問題や,CTが可能にした検査の低侵襲化について,MDCTから発生する膨大なボリュームデータをハンドリングするためのPACSの設計などについての講演が行われた。

JRS:外国招聘講演
 
合同特別講演
Sixteen Years of CTA:Perspectives and Challenges for a Maturing Field
司会:片田和広 氏

  --業種を問わず展開できる"TOYOTA WAY"--トヨタ生産方式の本質と進化(深化)
今,何がもとめられているか
Geoffrey D.Rubin 氏(スタンフォード大学)
Geoffrey D.Rubin 氏
(スタンフォード大学)

 

司会:名古屋大学名誉教授の石垣武男氏(左)と岐阜大学の藤田広志氏(右)
司会:名古屋大学名誉教授の石垣武男氏(左)と
岐阜大学の藤田広志氏(右)


林 南八 氏(トヨタ自動車(株))
林 南八 氏
(トヨタ自動車(株))


合同シンポジウム
CTの進歩が社会にもたらしたもの
司会:片田和広氏(左)と名古屋大学医学部附属病院の三宅良和氏(右)
司会:片田和広氏(左)と名古屋大学医学部附属病院の三宅良和氏(右)
 

左から本田憲業 氏(埼玉医科大学総合医療センター),小林泰之 氏(Johns Hopkins University),木暮陽介 氏(順天堂練馬病院),井田義宏 氏(藤田保健衛生大学病院),陣崎雅弘 氏(慶應義塾大学)
左から本田憲業 氏(埼玉医科大学総合医療センター),小林泰之 氏(Johns Hopkins University),木暮陽介 氏(順天堂練馬病院),井田義宏 氏(藤田保健衛生大学病院),陣崎雅弘 氏(慶應義塾大学)

 26日には,JSRTの基調講演としてシカゴ大学の土井邦雄氏が「若い研究者へのアドバイス:英語論文を書こう,新しい研究を始めよう」と題して講演。招聘講演では,名古屋大学の吉田 純氏が「情報の進歩から見た脳医療の最前線」と題して講演した。JSRで行われたシンポジウム3「General Radiologyはどこへむかうのか」では,General Radiologyの定義や必要性について,7題の講演が行われた。

JSRT:基調講演
 
JSRT:招聘講演
若い研究者へのアドバイス:
英語論文を書こう,新しい研究を始めよう

  情報技術の進歩からみた脳医療の最前線
司会:津坂昌利 氏
司会:小寺吉衞 氏(JSRT学会長)
司会:小寺吉衞 氏
(JSRT学会長)
土井邦雄 氏(シカゴ大学)
土井邦雄 氏
(シカゴ大学)

 


吉田 純 氏(名古屋大学)
吉田 純 氏
(名古屋大学)


JRS:シンポジウム3(基調)
General Radiologyはどこへむかうのか
司会:長崎大学の上谷雅孝 氏(左)と筑波大学の南 学 氏(右)
司会:長崎大学の上谷雅孝 氏(左)と 筑波大学の南 学 氏(右)
  左から安谷 正 氏(沖縄県立中部病院),下野太郎 氏(近畿大学),芦澤和人 氏(長崎大学)
左から安谷 正 氏(沖縄県立中部病院),下野太郎 氏(近畿大学),芦澤和人 氏(長崎大学)

左から藤岡睦久 氏(獨協医科大学),河井可奈江 氏(滋賀県立成人病センター),中島康雄 氏(聖マリアンナ医科大学),松尾義朋氏(六本木ヒルズクリニック)
左から藤岡睦久 氏(獨協医科大学),河井可奈江 氏(滋賀県立成人病センター),中島康雄 氏(聖マリアンナ医科大学),松尾義朋氏(六本木ヒルズクリニック)

 また,新たな試みとして,実際に端末で操作をしながら,3D画像処理やモニタの知識などを学ぶことができるハンズオンセミナーが,JSRTの大会長企画として行われた。さらに,2日目には,公共機関である名古屋港水族館を貸し切ってJRS,JSRT,JIRAの合同情報交換会を開催。会場と水族館の間をシャトルバスでつなぎ,イルカのパフォーマンスを観覧後に巨大水槽の前で参加者同士が交流する場を設けるなど,楽しみながら知識と交流を深める企画が多く見られた。

 次回の第44回日本医学放射線学会秋季臨床大会は2008年10月22日(水)〜24日(金)の3日間,福島県のビッグパレットふくしまにて開催される。また,第36回日本放射線技術学会秋季学術大会は2008年10月23日(木)〜25日(土)の3日間,長野県の軽井沢プリンスホテル西館で開催される。


●問い合わせ先
日本医学放射線学会秋季臨床大会事務局
藤田保健衛生大学医学部放射線医学教室
TEL 0562-93-9259 FAX 0562-95-2253
E-mail info@43jrs-au.jp
http://43jrs-au.jp/
日本放射線技術学会事務局
TEL 075-354-8989
E-mail office@jrst.or.jp
http://35jsrt-au.jp/