取材報告

2007
日常診療での工夫や注意点などをテーマに
「第4回3T MR研究会」が開催

質疑応答で盛り上がった会場
質疑応答で盛り上がった会場

青木茂樹氏
当番幹事:青木茂樹氏
(写真1)

 8月4日(土),秋葉原コンベンションホール(東京・千代田区)で,「第4回 3T MR研究会」が開催された。全身用3T MRIは2005年以降,わが国における臨床応用がスタートしたが,同研究会はこの動向に合わせて設立された。神戸大学大学院医学系研究科生体情報医学講座放射線医学分野教授の杉村和朗氏が代表幹事となり,2006年1月21日に第1回目の研究会を開催。以来,半年に1回のペースで開催され,今回は東京大学大学院医学系研究科放射線診断学准教授の青木茂樹氏(写真1)が当番幹事を務め,初めて関東に場所を移して行われた。

 研究会は2部構成で,第1部は一般演題として,セッション1「頭部その他」,セッション2「腹部」に分けて発表が行われた。また,第2部は特別企画として装置メーカーの共催セミナーとなった。一般演題では,3T MRIが国内でも普及が進み,導入施設が増えたことから,日常診療における工夫や注意点をテーマにした演題募集を行った。

 セッション1「頭部その他」では,東京大学大学院医学系研究科放射線診断学の阿部 修氏が座長を務めた。3T MRIによる神経メラニンMRIや耳下腺トラクトグラフィなど,頭部での撮像法やシーケンスについて報告されたほか,MRI室内で使用する穿刺針の開発など,7つの演題が発表された。また,セッション2では,昭和大学放射線科教授の後閑武彦氏が座長となり,3T MRIによるMRCPや,肝がんの検出についての64列MDCTとの比較結果,ほかに関節における使用経験など,5題の発表があった。

 続いて第2部の共催セミナーでは,熊本大学大学院医学薬学研究部放射線診断学部門教授の山下康行氏が座長を務めた。まずシーメンス旭メディテック(株)のユーザーである群馬県立がんセンター放射線診断部の堀越浩幸氏が,1.5Tとの比較を交えて,3Tでのq幹部の撮像法について紹介した。GE横河メディカルシステム(株)のユーザーである東京大学大学院医学系研究科放射線診断学の渡谷岳行氏は,TRICKS-XVやLAVA-XVなどのシーケンスの使用経験を報告した。(株)フィリップスエレクトロニクスジャパンメディカルシステムズからは,University 閣sklinik BonnのDr. Ursula E. Jaegerが“Pelvic Imaging at 3.0 Tesla : Experience with T2w-Imaging”と題して発表した。このほか,国内メーカーの東芝メディカルシステムズ(株)の青木郁男氏が,開発中の3T装置の現状について説明した。

 次回「第5回3T MR研究会」は,山下康行氏が当番幹事となり,2008年1月12日(土)に千里ライフサイエンスセンターで行われる。

第4回3T MR研究会プログラム
●第1部 一般演題
〈セッション1 頭部その他〉
 座長:阿部 修(東京大学大学院医学系研究科放射線診断学)
 1.「3T におけるTRICKS を用いた頭部造影Venography の検討」
  渡辺靖志(東京大学医学部附属病院放射線部)
 2.「Gd造影剤を用いた頭部領域における
    3T-MRIと1.5T-MRIの造影効果の基礎的検討」
  原 真司(島根大学医学部附属病院放射線部)
 3.「神経メラニンMRIの半定量表示法の検討:
    黒質,青斑核のcolor map表示」
  柴田恵理(岩手医科大学先端医療研究センター神経精神科)
 4.「耳下腺腫瘍と顔面神経との位置関係
    ― 3T MRIによる耳下腺トラクトグラフィ」
  池田耕士(関西医科大学附属滝井病院放射線科)
 5.「3T MRにおける高速Chemical shift imaging(CSI)の検討」
  小西淳也(神戸大学大学院医学系研究科内科系講座放射線医学分野)
 6.「腰痛の3T-fMRI実験における品質検証
    Quality assurance for the fMRI study of low back pain on
    a 3T scanner」
  赤石沢 孝(総合南東北病院放射線科)
 7.「MRI室内で安全に使用可能な穿刺針の開発」
  酒井美緒(東京大学医科学研究所放射線科)
〈セッション2 腹部〉
 座長:後閑 武彦(昭和大学放射線科)
 8.「3T MRIにおけるMRCPの検討─塩化マンガン四水和物の併用」
  寺田理希(磐田市立総合病院放射線技術科)
 9.「3テスラMRI装置における腹部拡散強調像の画質改善の試みと
    ADC測定」
  井本正彦(財団法人甲南病院中央放射線部放射線科)
 10.「3T-MRIにおける拡散強調像による肝癌の検出:
    64列ダイナミックCTとの比較」
  浪本智弘(熊本大学放射線診断学画像診断解析学)
 11.「当院における前立腺MRI・MRSの現状」
  鶴田邦彦(磯部クリニック放射線技術部)
 12.「3T装置を用いた膝関節MRIの初期経験
    ─関節軟骨の加齢性変化を中心に」
  岩間祐基(神戸大学医学部附属病院放射線部)

●第2部 特別企画(共催セミナー)
 座長:山下康行(熊本大学大学院医学薬学研究部放射線診断学部門)
〈3T MRプロトコールと臨床応用〉
 ・シーメンス旭メディテック株式会社
  堀越浩幸(群馬県立がんセンター放射線診断部)
 ・GE横河メディカルシステム株式会社
  渡谷岳行(東京大学大学院医学系研究科放射線診断学)
 ・株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパンメディカルシステムズ
  Dr. Ursula E. Jaeger
  (Ober aztin der Radiologischen Klinik FE MRT,
   University asklinik Bonn)
〈国産3T MRI 開発の現状〉
 ・東芝メディカルシステムズ株式会社
  青木郁男(東芝メディカルシステムズ株式会社東京本社MRI事業部)

●問い合わせ先
3T MR研究会事務局
神戸大学大学院医学系研究科
生体情報医学講座放射線医学分野内
TEL 078-382-6100 FAX 078-382-6129
http://www.secretariat.ne.jp/3TMRI/