「がん対策推進基本計画」(以下,基本計画)が6月15日(金)に閣議決定された。これを受けて,安倍晋三首相が同日,東京大学医学部附属病院の放射線治療施設を視察した。
基本計画とは,がん対策基本法に基づいて策定されたもので,がん対策の総合的かつ計画的な推進を目的としている。がん対策の基本的な方向性を定めるとともに,都道府県がん対策推進計画の基本となる。重点課題として,(1)放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師等の育成,(2)治療の初期段階からの緩和ケアの実施,(3)がん登録の推進を挙げ,「がん患者を含めた国民が,がんを知り,がんと向き合い,がんに負けることのない社会」の実現をめざす。
安倍首相は,同院放射線科准教授/緩和ケア診療部長の中川恵一氏から,日本はほかの先進国と比べ放射線治療を受ける割合が約25%と低いが,10年後には約50%にまで増加することが予想される,などといった放射線治療の現状と動向についての説明を受けた。また,イメージガイド下放射線治療(IMRT)用治療装置「Elekta
Synergy」を見学し,最新の放射線治療技術を学んだ。
視察を終えた安倍首相は,緩和ケアの重要性を指摘。基本計画の中で,10年以内にがん診療に携わるすべての医師が,研修などを通して緩和ケアの基本的な知識を習得するとしている点に触れ,研修を5年以内に終えるよう取り組む姿勢を明らかにした。 |