「第3回MRマンモグラフィ研究会」は7月7日(土),アカデミーヒルズ40(東京・港区)において,“乳がんの広がり診断に最適なMRを活用した精査法の日米最新情報を紹介”をテーマに開催された(GE横河メディカルシステム社協賛)。同研究会は,聖路加国際病院ブレストセンター長の中村清吾氏(写真2)と同院放射科医長の角田博子氏(写真1左),癌研究会病理部副部長の秋山 太氏(写真1右)を発起人として,2006年2月に発足した。近年,乳がん診断においてMRマンモグラフィ検査が施行されるようになり,乳房温存療法の術前の広がり診断や良悪性の鑑別診断,化学療法後の効果判定において有効性が高いとして,欧米を中心に普及が進んでいる。同研究会では,日本でも期待が高まっているMRマンモグラフィによる精査の普及と,グローバルな診断用語のガイドラインである「BI-RADS」に則った診断基準を策定するための取り組みを行っている。
3回目となる今回は,BI-RADSの作成をリードした乳がん診断の世界的権威である,米国スタンフォード大学Breast
Imagingディレクター,デブラM.
イケダ氏(写真3)が「MR Mammography〜Hot Topics
in U.S.」と題して基調講演を行った。MRマンモグラフィの適応として,乳がんの広がり診断,化学療法前・中の撮像,両側乳房の同時撮像があるほか,米国では乳がんの発症に関係するBRC1,BRC2といった遺伝子を持つハイリスク患者のスクリーニングにも用いられている。講演では,こうした米国の現状や撮像の基本,2006年のRSNAで発表されたBI-RADSの改定ポイント,MRガイド下生検の方法などについて,多数のスライドを示しながらわかりやすく紹介された。
亀田メディカルセンター乳腺センターの戸崎光宏氏(写真4)が座長を務めた「MR
Mammography撮像と読影」では,北里大学医学部放射線科の秦 博文氏(写真5)が撮像技術について,同ウッドハムス玲子氏(写真6)が読影について講演を行った。秦氏は,ポジショニングの基本や撮像プロトコール,検査の際の注意点などについて詳述。また,ウッドハムス玲子氏は,拡散強調画像による化学療法後の効果判定や,見かけの拡散係数を数値ごとに色分けしてマッピングしたADC
mapによる質的診断,マンモトーム前の評価,MR spectroscopyによる診断などの有用性と課題について述べた。その中で,1.5T
MRIによる診断には限界があるとしながらも,さらなる高磁場化によって空間分解能などいくつかの課題は解決するとし,分子イメージングや治療への応用などへの期待を述べた。
最後に行われた症例検討では,角田氏と秋山氏の司会の下,聖路加国際病院放射線科の菊池真理氏(写真7)が症例を提示し,BI-RADS診断基準に則った読影のポイントなどについて会場と意見交換を行った。
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症例検討の司会を務めた角田博子 氏(左)と秋山 太
氏(右)
菊池氏が示した3つの症例について,マンモグラフィ,超音波,MRマンモグラフィ,病理などの画像を示し,診断の経緯や診断結果などについて,来場者と意見交換を行った。
(写真1)
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