シーメンス旭メディテック(株)は6月16日(土),神戸ファッションマート(兵庫)において,MRIとCTの最先端技術について紹介する「7th
Cutting Edge Seminar」を開催した。MRIの最新アプリケーションである“syngo
TimCT”と,X線管球と検出器が2対搭載された革新的なDual Source CT「SOMATOM
Definition」を中心に,それぞれの技術と海外の臨床現場における先進事例が紹介された。
冒頭,同社代表取締役社長のスティーブン・ファインバーグ氏(写真1)が挨拶に立ち,今年の4月17日に医療法施行規則の改正が行われ,Dual
Source CT「SOMATOM Definition」の2管球同時曝射が可能になり,臨床で役立つための大きな一歩を踏み出したと述べた。また,大会長を務めた杉村和朗氏(神戸大学大学院医学系研究科放射線医学分野教授 写真2)は,SOMATOM
Definitionとsyngo TimCTが臨床にどのような可能性をもたらすのか,本セミナーを通じて探っていきたいと挨拶した。
MRIのセッションでは,金澤 右氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科放射線医学教授 写真3)が座長を務めた。Ceile
Mohr氏(Head-Global Market Segment Management,MR
Marketing,Siemens Medical Solutions 写真4)は,Timがもたらすさまざまなアプリケーションについて紹介し,なかでも最も革新nuous
Table moveの略であり,CT装置と同じようにテーブルを移動させながら撮像する技術である。広い視野の画像を連続性を持って得ることができ,特にMRアンギオグラフィ(MRA)では,テーブルを段階的に送る手間が軽減されるため,ワークフローが約50%も効率化されると述べた。Jorg
Barkhausen氏(Vice Director of the Institute
of Diagnostic and Interventional Radiology and
Neuroradiology at the University Hospital in
Essen 写真5)は,MRAをテーマに講演した。“syngo TWIST”では,低容量の造影剤でも高解像度の画像を得ることができ,さらにsyngo
Tim CTによって,自由呼吸下でもマルチスライスCTに匹敵する画像が得られるようになったとし,この2つのアプリケーションがMRAに大きな進歩をもたらすだろうとの見解を示した。
CTのセッションでは,松永尚文氏(山口大学大学院医学系研究科放射線医学分野教授 写真6)が座長を務めた。Andre
Hartung氏(Vice President,CT Marketing,Siemens
Medical Solutions 写真7)は,SOMATOM Definitionの最新技術と臨床的有用性について述べた。SOMATOM
Definitionは,2対の管球と検出器で同時に撮影とデータ収集が行えるため,時間分解能は83ミリ秒,心臓のスキャンデータ収集はわずか6秒程度で行うことができる。そのため,高心拍や不整脈の患者でも高画質画像が得られる,急性期や外傷の患者に対してワンストップ診断ができる,被曝線量を半分に減らすことができる,などのメリットがあると述べた。また,Anno
Graser氏(Department of Clinical Radiology,University
of Munich 写真8)は,2つの管球から異なるエネルギーでX線を照射し,得られたデータをサブトラクションするデュアルエナジーサブトラクションについて,多数の画像を示しながら説明した。組織の組成の違いによる,腫瘍や血管内プラークなどの鑑別が可能であり,非常に将来性の高い装置であると評価した。 |