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(株)フィリップスエレクトロニクスジャパンメディカルシステムズは,3月24日(土),品川インターシティホールで“Parallel
Imaging Symposium Tokyo 2007”を開催した。東京,大阪を会場にして毎年行われる本セミナーも今年で 6年目となる。今回は,脳神経領域,乳腺領域,トピックスの三部構成で紹介された。
第一部の脳神経領域では,東京大学の阿部 修氏(写真1)が座長を務めた。まず,「3TにおけるBOLD-venographyについて」をテーマに土橋俊男氏(日本医科大学付属病院,写真2)が講演した。土橋氏はPRESTOシーケンスによるBOLD-venographyを評価。3TのPRESTOではTRよりTEを長く設定できるため撮像時間が短く,磁化率効果を強調できるとし,FSEと比較してコントラストが強調されると述べた。
続いて,熊本大学の平井俊範氏(写真3)が,「Non-Contrast
Perfusion(PULSAR & QUASAR)の臨床応用」と題して講演した。平井氏は,DSC法,ASL法(PUL
SARとQUASAR)について紹介し,脳腫瘍における両者の最大灌流の程度が相関しており,susceptibilityの強い領域では,ASL法が有利であると述べた。そして,3T装置でASL法を用いることで,脳灌流の非侵襲的な定量評価ができるとまとめた。
また,京都府立医科大学の山田 恵氏(写真4)は「Multi-tensor
tractography」と題して講演した。山田氏は,従来のtractographyに欠けているものとして感受性を挙げ,特に過小評価になる場合が問題になると指摘。感受性を向上させるための方策を説明した。さらに,b-valueの値やS/N,空間分解能などの撮像面と,fiber
trackingの条件設定など画像処理面での検討すべき課題を挙げた。
続く第二部「特集:乳腺領域」では,代表世話人の中島康雄氏(聖マリアンナ医科大学,写真5)が座長を務めた。初めに戸崎光宏氏(亀田総合病院,写真6)が「MR
Manmoの現状と将来」と題して発表した。戸崎氏は,両側MRIの評価について症例を取り上げ,対側病変と小乳がんの検出において,マンモグラフィ,US,マンモグラフィ+USのいずれよりも高い感度が得られたとの結果を示した。
この後,聖マリアンナ医科大学の栗原泰之氏(写真7)が,「Bilateral
High Resolution MR Mammography(HR-MR-MMG)&
Histologic Correlation」と題し,高分解能乳腺MRIにおける乳がん診断について講演した。栗原氏は,HR-MR-MMGを行うことにより,容易かつ経済的に検査ができ,さらに読影の負担が少なく行え,検出能も向上すると述べた。
第三部は,トピックスとして,東海大学の今井 裕氏(写真8)を座長に行われた。まず,東海大学の松前光紀氏(写真9)が東海大学医学部付属病院の新病院開院とともに導入したMRI,CT,アンギオ装置一体型の手術システム,MRXOについて紹介した。MRXOは世界初の複合型診断治療システムであり,診断,治療が迅速に行える。松前氏は,一直線上にモダリティを配したレイアウトが,今後多くの病院設計に応用されると説明した。
次いで,熊本中央病院の片平和博氏(写真10)が,躯幹部MRIにおけるボリュームデータについて発表した。片平氏は,64列CTと比較しても濃度分解能の点でMRIは優れているなど,躯幹部における優位性について,実際の症例を示しながら説明。ボリュームデータが必要となる部位の検討や読影法の確立が今後重要になってくるとまとめた。
第三部の最後に,山形大学の児玉潤一郎氏(写真11)がフィリップスの撮像アプリケー ションであるSmartExamについて使用経験を発表した。SmartExamは,位置決めから一連検査の流れを自動処理し,検査の効率化を実現する。児玉氏は,撮像断面などの登録をすることで,他施設とも共有できる点などを高く評価した。
この後,実際のSmartExamを用いた撮像について,デモンストレーションが行われ,盛況のうちにセミナーは幕を閉じた。
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