取材報告

2007
第10回本郷緩和ケア研究会が開催

鎌田 實氏(右)と中川恵一氏(左)の対談の様子
鎌田 實氏(右)と中川恵一氏(左)の対談の様子

 第10回本郷緩和ケア研究会が1月31日(水),東京大学医学部鉄門記念講堂にて開催された。開会の挨拶に立った東京大学医学部附属病院麻酔科・痛みセンター教授の山田芳嗣氏が,本研究会は病院という基盤に基づき,学内外の交流を積極的に図ることのできる場だと述べた。

 続いて,諏訪中央病院名誉院長の鎌田 實氏による特別講演「言葉の向こう側にある患者の心を探す」などのほか,鎌田氏と東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部部長の中川恵一氏による,「がんと日本人」と題した対談が行われた。中川氏は,患者が治癒を望むことは当然であるとした上で,早期からの緩和ケアがこれからの重要なテーマであると述べた。また,限りある命という時間をどのように過ごすかの手伝いをすることが緩和ケアであるとし,諏訪中央病院の取り組みについて,在宅医療を念頭に置いて緩和ケア病棟をつくったことが先駆的であると評価した。鎌田氏は,がんと闘うためにどうすべきかを医師と患者がともに考え,決定していくことが大切であると述べた。また,高齢者の約6割が自宅で最期を迎えることを望んでいるのに対し,がん患者の約9割が病院で亡くなるという現状に触れ,患者が人生最期の場を選択できることが大切だとの考えを示した。さらに,スタンダードながん治療がどこでも受けられること,子供が安全に生まれて育つための小児科,産婦人科の医療技術の進歩,在宅医療,緩和ケアなどの支える医療の充実が,日本の医療に求められていると述べた。


●問い合わせ先
東京大学医学部附属病院 緩和ケア診療部
TEL/FAX 03-5800-8786