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GE横河メディカルシステムズ(株)は,11月15日(水),センチュリーハイアット東京(新宿)において,64列MDCTに対応する新機能「SnapShot
Pulse」を採用した「Adaptive Technology」の発売開始にあたり,その技術的説明や臨床事例についての記者発表会を開催した。SnapShot
Pulseは,低被曝と高画質を実現する新しい心臓撮影法である。現在の主流の血管造影検査は侵襲性が高いことから,心臓検査におけるCTの臨床的有用性が認められてきた。一方で心臓CTは,被曝量の多さが最大の課題とされてきた。
SnapShot Pulseでは,任意の心位相のみでのデータ取得が可能なために無駄な被曝を抑えることができ,血管造影検査以下のレベルまで(最大では従来比約90%)被曝量を低減することが可能となる。
同社代表取締役社長兼CEO/ゼネラル・エレクトリック社カンパニーオフィサーの三谷宏幸氏(写真1)は,患者のヘルススパンをどのように伸ばしていくかが,同社が医療の分野でめざしていくことだと挨拶した。
続いて,慶應義塾大学医学部放射線科学(診断)の栗林幸夫教授(写真2)が,SnapShot
Pulseの臨床での有用性に関する講演を行った。栗林教授は,虚血性心疾患における冠動脈造影法と心臓CTを比較し,心臓CTの長所は,低侵襲,血管内腔とプラークの情報が得られる,低コスト,入院が不要,であると話した。一方短所は,冠動脈造影法に比べ分解能が劣ることや,被曝量が多い点が大きな問題とされてきたと述べ,症例を提示しながら従来の心臓CTとSnapShot
Pulseを用いた検査の比較結果を報告した。SnapShot Pulseによる撮影は従来の心臓CTに比べ,同等以上の画質を保ったまま,平均で6割程度の被曝線量を低減できたと述べた。また,撮影時間に変化がないため,従来の造影剤のプロトコールを変更する必要がないことも大きなメリットであると述べた。栗林教授は,SnapShot
Pulseの登場により,特にスクリーニングや フォローアップにおいて,冠動脈造影法から心臓CTへの移行が加速し,また,動脈硬化性の変化の早期診断など,予防医療に貢献する可能性が期待できるとまとめた。
同社技術本部MI&CT技術部長の佐藤和彦氏(写真3)が,SnapShot
Pulseを中心とする「Adaptive Technology」について技術的な説明をした。「Adaptive
Technology」はSnapShot Pulseのほかに「ECG Editor」と「VolumeShuttle」を含めた総称である。同社CTセールス&マーケティング部長の毛受義雄氏(写真4)は,「Adaptive
Technology」は,同社の64列MDCTである「LightSpeed VCT」に搭載可能であるため,新しい機能を現在使用しているCT装置のままで使える点を強調した。さらに,今後はこれらの技術を大学病院や基幹病院,心臓の専門病院を中心として年間100台の販売をめざし,心臓CT検査の普及に努めていきたいと話した。
SnapShot Pulseを用いた
心臓CT画像や
モジュールなどの展示
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