取材報告

2006
GEYMSが「GE最先端技術セミナー」を
全国各地で開催

セミナー会場
セミナー会場

●第一部

大友 邦 氏
座長:大友 邦 氏
(写真1)

渡辺宏樹 氏
渡辺宏樹 氏
(写真2)

●第二部

栗林幸夫 氏
座長:栗林幸夫 氏
(写真3)

新本 弘 氏
新本 弘 氏
(写真4)

田波 穣 氏
田波 穣 氏
(写真5)

 GE横河メディカルシステム(株)は,2006年9月から11月にかけて「Healthcare Re-imagined. GE最先端技術セミナー〜CT,MR,PACSの最前線〜」と題したセミナーを開催している。インテル(株)の協力を受け,9月8日の岡山 会場を皮切りに全国7か所で行われる。10月13日(金)には,東京全日空ホテルを東京会場として,セミナーを開催した。今回は,セミナーのタイトルにあるとおり,CTとMRIの最新技術と臨床現場における有用性について講演が行われた。また,モダリティの高度化,病院経営改革の点からもニーズが高まっているPACSにも焦点が当てられている。そのため,第一部のテーマをPACSとし,第二部でCT,MRIを取り上げる構成となった。

 第一部では,東京大学大学院医学系研究科放射線診断学教授の大友 邦氏(写真1)を座長に迎え,東京大学医学部附属病院企画情報運営部の渡辺宏樹氏(写真2)が講演した。渡辺氏の講演のテーマは,「東大病院におけるCentricity PACSの経済性:節減できるコスト,かけるべきコスト」。東京大学医学部附属病院では,2003年4月からCentricity PACS導入によるフィルムレス運用を行っている。渡辺氏は,その効果としてフィルムと関連する消耗品のコスト,人件費などを削減できると想定し,実際には1億7500万円以上の削減効果があったと説明した。さらに,渡辺氏は,診療やカンファレンスにおけるフィルム運用との違いを紹介。PACSが同院にとって欠くことのできないライフラインとも言えるインフラであると強調した。その上で渡辺氏は,PACSが24時間365日稼働し続けるためには,ベンダーとユーザーがフィルム運用に「後戻りができない」ことを強く自覚するべきだと言及。講演のまとめとして,コストの削減だけでなく,システムの二重化や保守など,必要な部分にはコストをかけることが重要だと述べた。

 第二部は,慶應義塾大学医学部放射線診断科教授の栗林幸夫氏(写真3)が座長を務めた。まず,「体幹部における新型HD MRへの期待」と題し,慶應義塾大学医学部放射線診断科の新本 弘氏(写真4)が講演した。新本氏は,体幹部領域におけるMRIの方向性として,「より高分解能」,「より広範囲」,「機能診断」というキーワードを提示。LAVAやVIBRANT,PROSEなどのアプリケーションについて,症例を示しながら分解能の向上,広範囲の撮像,機能診断での有用性を評価した。さらに,講演当日,同社MRIの最上位クラスに位置づけられるSigna HDxシリーズが発表されたことを受け,最新のパラレルイメージング法であるGEMとXVテクノロジーによるTRICKS-XVなどの最新アプリケーションを紹介。Signa HDxシリーズによる時間分解能,空間分解能の向上,Cartlage T2 Mappingなどの機能診断に期待を示した。

 これに続き,「MDCTの現在と将来展望──心臓血管疾患のMDCTを中心として」と題し,慶應義塾大学医学部放射線診断科の田波 穣氏(写真5)が講演した。田波氏はMDCTの進歩が心臓血管疾患へのCTの適用を広げたと評価する一方,今後の課題として,被曝低減,石灰化の描出,空間分解能・時間分解能のさらなる向上を挙げた。そして,低被曝対策として研究を進めているSnapShot Cineについて説明。通常の検査に比べ,撮影時間を短縮し,被曝も大幅に低減できたと述べた。また,田波氏は,1管球で交互に異なる線量を照射するDual kV CTについても発表し,プラークの評価への有用性を示した。このほか,現在研究開発が進んでいる超高分解能MDCTの現状を説明。これら3つの技術の研究が進めば,被曝低減,石灰化の描出,空間分解能・時間分解能のさらなる向上という課題解決に貢献できるとまとめた。

 GE最先端技術セミナーは,東京会場以降,札幌会場,福岡会場で開催され,11月10日(金)に横浜会場(パンパシフィック横浜)で全日程を終了する予定である。


●問い合わせ先
GE横河メディカルシステム株式会社
GE最先端技術セミナー事務局
http://www.gehealthcare.co.jp/