取材報告

2006
東大病院が「企業における健康づくり推進シンポジウム2006」開催
〜40歳以上社員・家族への予防義務化への対応をテーマに〜

山本英紀 氏
山本英紀 氏
(写真1)

森 晃爾 氏
森 晃爾 氏
(写真2)

奥 真也 氏
奥 真也 氏
(写真3)

古井祐司 氏
古井祐司 氏
(写真4)

 2006年医療制度改革により,40歳以上の被保険者・被扶養者に特定健康診査を実施し,保健指導や情報分析して生活習慣の改善を図ることが義務化され,市町村から医療保険者(健保組合)に実施機関が変更されることになった(2008年4月から施行)。健保組合は,老人医療拠出金がプラスマイナス10%の範囲で増減されるという結果責任を負うことになる。これは,医療費削減に有効な生活習慣病の予防を目的に,その予備軍である内臓肥満症候群(メタボリックシンドローム)に関する特定健診に力を入れ,リスク・必要度に応じた保健指導を行うことがねらいのひとつである。受けっぱなしの感があったいままでの健診から,アウトカムを設定して評価し,健診データを予防に有効活用することが求められる。そのためには,健診データの電子的標準様式の検討が必須となろう。

 健診を取り巻く環境が大きく変わろうとしているなか,「企業における健康づくり推進シンポジウム2006」(東京大学医学部附属病院主催,厚生労働省/経済産業省/日経連後援)が9月15日(金),東京大学安田講堂で開催された。

 永井良三院長の挨拶の後,山本英紀氏(厚生労働省健康局生活習慣病対策室,写真1)が特別講演「生活習慣病予防の義務化〜2006法改正に基づき」と題して講演。生活習慣病の予防による健康と経済への効果を説き,40歳以上社員・家族への予防義務化に対する理解と,企業や健保組合の積極的な保健事業展開を促した。

 続いて,日経連の基調談話「健康づくりに取り組む企業こそが優良企業〜健康ムーブメントづくりに向けて」が代読された後,パネルディスカッションとして,森 晃爾氏(産業医科大学副学長,写真2)の「企業・産業医と健保組合との連携に基づく生活習慣予防」,奥 真也氏(東京大学医学部附属病院健診情報学講座助教授,写真3)の「健診の標準化に向けて」,古井祐司氏(東京大学医学部附属病院健診情報学講座講師,写真4)の「職域での先進的な生活習慣病の予防教育」が発表された。特に,奥助教授は,健診の義務化の本質は自らの健康について「知る権利」であり,「受ける権利」というとらえ方が必要なこと,そして,継続的なデータ収集・管理・解析には,健診ポータビリティの確保と電子的標準化が必須になることを強調した。東京大学医学部附属病院では22世紀医療センターに健診情報学講座を開設。健診の標準化をはじめ,予防医学のあり方を検討していくという。


●問い合わせ先
東大病院22世紀医療センター健診情報学講座
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