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第9回本郷緩和ケア研究会は9月6日(水),東京大学医学部鉄門記念講堂にて開催され,日本人の死生観をテーマに,4名の演者が講演を行った。
東京大学大学院医学系研究科成人看護学/緩和ケア看護学助手の宮下光令氏(写真2)は,「日本人にとっての望ましい死」と題して,一般と緩和ケア遺族の計3061人を対象とした,“望ましい死のあり方”に関するアンケート調査の結果を報告した。80%以上の回答者が,「身体的心理的苦痛がないこと」など10項目を挙げており,今後はこれらを概念化した上で,達成度調査を行う必要があると述べた
本研究会の世話人の一人でもある東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部部長の中川恵一氏(写真1)は,「日本人の死生観とがん治療」と題して,日本における緩和医療の実体について述べた。望ましい死を迎えるために,がんの痛みを取ることは重要であり,医療従事者は緩和ケアに対する理解をさらに深める必要があると述べた。
東京大学大学院教育学研究科教育人間学助教授の西平 直氏(写真3)は,「日本の子どもの死生観」と題して,大学生を対象に行った,“幼少期に死についてどのように考えていたか”に関するアンケート調査の結果を報告した。死が遠くなったと言われている現代の子どもも多様な死を体験しており,死生観が形成される過程も多様であると述べた。
東京大学大学院人文社会系研究科教授/COE死生学の構築・拠点リーダーの島薗 進氏(写真4)は,「なぜ,日本人は告知や緩和ケアに消極的なのか?」についての考察を述べた。
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