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「国際モダンホスピタルショウ2006」が7月12日(水)〜14日(金)の3日間,東京ビッグサイトにおいて開催された。毎年恒例となったこのイベントも今回で33回目となる。主催する(社)日本病院会と(社)日本経営協会では,昨年から引き続き,「確かな健康・医療・福祉─クオリティの高いサービスをめざして」をテーマに設定した。出展者数は過去最大の392社,展示面積は7900m2となり,回を重ねるごとに規模を拡大している。
今回は,「『体にやさしい優れた医療』〜安心して受けられる医療の歩み〜」と「『看護に生かす情報システム』─質の向上をめざして」の2つの主催者企画展示が設けられた。「『体にやさしい優れた医療』〜安心して受けられる医療の歩み〜」では,東芝メディカルシステムズ(株)のマンモグラフィ検診車の実物が展示されたり,QOLを向上させる新たな医療として重粒子線がん治療などが紹介された。
一方,「『看護に生かす情報システム』─質の向上をめざして」では,“モデル病院エリア”,“クオリティエリア”,“リスクマネジメントエリア”などに分けて,医療安全などにも効果を発揮する看護システムについて,聖路加国際病院やNTT東日本関東病院の事例がパネル展示された。また,この主催者展示と連携し,出展社の関連製品・サービスのPRも行われた。
一般の展示は,“医療機器・環境設備ゾーン”,“医療情報システムゾーン”,“看護・介護ヘルスケアゾーン”,“病院運営サポートゾーン”の4つのゾーンに分けて構成された。このうち“医療情報システムゾーン”では,今年も電子カルテシステムを中心とした展示が多く見られた。今年1月に政府のIT戦略本部が「IT新改革戦略」を発表し,レセプトのオンライン化などITによる医療の構造改革が明示されたり,4月の診療報酬改定でいわゆる電子化加算が設けられたこともあり,電子カルテシステム普及に向けた気運が高まっている。こうした中,ホスピタルショウでは新製品が数多く登場。電子カルテシステムの大手である富士通は診療所向けの新製品を発表した。同じく診療所向けの製品で高いシェアを持つ三洋電機は,モニタを縦型にして,紙カルテの感覚で画面を表示する機能を参考展示していた。
医療情報システムの展示内容からは,現在の医療機関が抱える課題が,キーワードとして浮かび上がってきている。その1つが「地域医療連携」である。経済産業省では,IHE-Jに基づいた医療情報システムのモデル事業を行っているが,この動きを受けて出展社の多くが標準化規格による地域医療連携をうたったシステムを紹介していた。また,診療報酬改定の影響を受けて,「フィルムレス化」を実現するためのPACSにも力の入った展示が見受けられた。このほか,急性期病院の経営者には関心が高いであろう「DPC」についても,IT化によって得られたデータを用いて経営分析が行えるようなサービスを提案する出展社が目立った。
会期中は,ホスピタルショウ・カンファレンスとして,病院マネジメントとIT,医療制度改革と経営戦略,地域医療連携の体制づくりをテーマにしたセッション,シンポジウムも行われ,多くの参加があった。また,「自治体フェア2006」,「介護フェア2006」,「PSAフェスタ2006」を同時開催したこともあり,3日間で延べ7万6000人以上が会場を訪れるほどの盛況だった。なお,「国際モダンホスピタルショウ2007」は,2007年7月11日(水)〜13日(金)の3日間,今回と同じく東京ビッグサイトで開催される予定である。
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