講演会会場風景
Ritsuko Komaki教授
(写真1)
|
放射線治療の先進国であるアメリカで最高水準を誇るM.
D. Andersonがんセンター放射線腫瘍科を率いるRitsuko
Komaki教授(写真1)の講演会が6月30日(金),順天堂大学有山記念館講堂で開催された。Ritsuko
Komaki教授は,1969年広島大学医学部を卒業後,放射線影響研究所を経て,71年に渡米。放射線腫瘍学を専門として,88年にM.
D. Andersonがんセンター放射線腫瘍学准教授,94年に同教授に就任。2005年からは順天堂大学放射線科客員教授でもある。
今回,順天堂大学医学部放射線科・唐澤久美子助教授,東京大学医学部放射線科・中川恵一助教授,市民のためのがん治療の会・會田昭一郎代表の働きかけにより,アメリカの実状を報告する講演会(演題:Targeted
Treatment for the Lung Cancer)が実現した。講演前には記者会見が設定され,Komaki教授からは,放射線治療を第一選択とするがん患者が日本の25%に比べ,65%にものぼるアメリカのがん医療や,日米の医療に対する考え方の違いについてレクチャーが行われた。M.
D. Andersonがんセンター放射線腫瘍科はアメリカでも最大の放射線治療サイトで,50人の専門医,60人の医学物理士,70人の技師が治療にあたっているという。翻って日本は,全国で約500人しか専門医がいないし,医学物理士に至っては数えるほどというのが現状だ。アメリカで放射線治療が今日に至ったのは,患者のために闘ったパイオニアの医師たちの功績が大きい。アメリカでは患者の要望がなにより優先され,医師は神ではなくスレイブ(奴隷)だとKomaki教授は言う。最近でこそ,日本のがん患者も社会的な発言を積極的に行うようになってきたが,日米の環境には大きな隔たりがあるようだ。放射線治療の選択肢と品質管理を十分保証できるよう,今後も学会や患者団体などがともに普及・啓発活動を行っていくことが重要だと述べた。
|
記者会見風景
左から,會田昭一郎氏,中川恵一助教授,Ritsuko Komaki教授,唐澤久美子助教授 |
|