世界初のデュアルソース
タイプ新型CT
「SOMATOM Definition」
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臨床画像
左側は拡張期,右側は収縮期。撮影時の心拍数は平均84bpmで,βブロッカーの投与もなく,スキャン時間はわずか6秒
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記者説明会風景
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シーメンス旭メディテック(株)は,11月25日に発売を開始した,世界初の“デュアルソース(Dual
Source)”タイプ新型CT(以下,DSCT)「SOMATOM Definition」の記者説明会を12月5日(月),東京・千代田区の帝国ホテルにて開催した。
12月2日に終了した第91回北米放射線学会(RSNA2005)でも発表の中心となり,大きな注目を集めた「SOMATOM
Definition」は,受診者を選ばず,低リスクの心臓検査が可能な革新的なCTとして開発された。管球と64列スライス用検出器を2対搭載して,同時に撮影とデータ収集を行うため,時間分解能は83ミリ秒,心臓のスキャンデータ収集はわずか5秒と,心拍数に影響されない,高速撮影が可能になった。その結果,βブロッカーを投与しなくても高解像度の画像が得られ,被曝線量がシングルソースタイプCTと比べて約1/2になるなど,被験者の負担が大幅に軽減される。また,高精細な画像が得られるため,冠動脈疾患においては,心臓カテーテル検査によるフォローアップも不要になるものと予測されている。
さらに注目されるのは,2対ある管球のX線照射量をそれぞれ変えることで,デュアル・エナジー・サブトラクションが可能なことである。X線の吸収強度の違いにより,骨と血管が絡み合う部位など,これまで鮮明に撮影できなかった組織部位を明確に区別し,より鮮明に画像化できるようになる。さらに,脂肪と悪性腫瘍との識別,血管内プラークの識別など,機能診断の可能性も期待されている。また,これらの技術によりone-stop-shopping検査が可能になることから,救急医療現場でも活用できるなど,「SOMATOM
Definition」の登場により臨床のさまざまな場面で新しい展開が広がるものと期待されている。
記者説明会では,はじめにシーメンス旭メディテック代表取締役社長のヨッヘン・ディック氏(写真1)が挨拶に立ち,質の向上とコストの削減を両立させるためのイノベーションがシーメンス社の製品開発戦略の1つであり,そのひとつの形がDSCT「SOMATOM
Definition」であると述べた。
シーメンスメディカルソリューションズCT部門Vice Presidentのベルンド・オーネゾルゲ氏(写真2)は,「SOMATOM
Definition−−The World's First Dual-Source CT
and its Perspective」と題して,世界で初めて開発に成功したDSCT開発の経緯や搭載された最新技術,臨床における有用性などについて報告した。「SOMATOM
Definition」はシーメンス社にとって2005年の最も革新的な,非常に大きな鍵となる製品であると強調。2006年の販売目標は世界で150台,うち日本には30台を納入したいと見通しを述べた。また,Strategic
CT innovation Marketing Directorの中辻 博氏(写真3)は,「世界初DSCTの予防医学への挑戦」と題して,国内における予防医学を中心とした心臓検診の意義と医療経済効果,DSCT開発の意義などについて発表。将来的にはDSCTが新しい世代,新しいカテゴリーをつくると展望した。
世界で初めて「SOMATOM Definition」を導入した,ドイツのエルランゲン大学診療放射線部リサーチ・フェローのアクセル・クッツナー氏(写真4)は,「Dual
Source CT:New clinical horizons」と題して,導入から6週間の臨床現場での診断実績をもとに,DSCTの潜在的な可能性や有用性などについて述べた。DSCTでは,心拍数や体格のいかんにかかわらず,また,救急でも短時間に安定した画像が得られていることから,将来的には大学病院でも診療所でも同じクオリティの画像が得られるようになるとの可能性を示唆した。
ディック社長
(写真1)
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オーネゾルゲ氏
(写真2)
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中辻 博 氏
(写真3)
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クッツナー氏
(写真4)
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