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東芝メディカルシステムズ株式会社は10月16日(日),“Made for Life”の一環として東京国際フォーラムにおいて,「Advanced
Cardiac CT Seminar 2005」を開催した。現在,同社は世界各国9施設と国際的産学共同で,64列マルチスライスCT(Aquilion
64)による冠動脈CT検査(CTA)と冠動脈造影検査(CAG)との描出能の比較,評価を行う「Multi
center trial CorE 64」を行っている。CorE 64は,冠動脈CTAの検査精度,装置評価,解析結果などを定量的に評価することにより,臨床上のエビデンスを構築することを目的とし,循環器内科と放射線科が協力して,臨床プロトコール,収集条件,被曝線量などを厳密に管理し進めている。本セミナーでは,日本,アメリカ,ヨーロッパの参加4施設から,CorE
64の研究成果が世界で初めて発表された(他の5施設は,カナダ・トロント総合病院,オランダ・ライデン大学,シンガポール・マウントエリザベス病院,ブラジル・INCOR)。
アメリカ,ジョンズホプキンス大学からは3名の循環器内科医が発表。まず,Joao
A. C. Lima, M.D.(写真1)は,冠動脈狭窄やプラークの検出において,CAGからCTAに置き換わるパラダイムシフトが起こっているとし,将来的にはCTAがスクリーニングに使用されていくと述べた。Julie
M. Miller, M.D.(写真2)は,CAGで年間900例も死亡しているという事実を踏まえて,非侵襲的なCTAがCAGに置き換わりうるかという,CorE
64での診断精度評価への期待を述べた。また,Edward
P. Shapiro, M.D.(写真3)は,CTAによる不安定プラークの性状評価の可能性について報告した。
ドイツのフンボルト大学からはMarc
Dewey, M.D.(写真4)が,16列と64列スライスCTの比較検討結果を報告した。
日本からは岩手医科大学の新沼廣幸M.D.,
Ph.D.(写真5)が,冠動脈疾患の診断には,コストや非侵襲性という面からもCTAが優位と報告。3D-CTAでの評価の有用性を強調し,画像を再構成してどのように有効に利用するかが重要だと述べた。
アメリカ,ベスイスラエル病院のMelvin
E. Clouse, M.D.(写真6)は放射線科医の視点から,他のモダリティとの比較を報告した。CTAは非石灰化プラークの描出,アテロームプラークの成長評価などに優れており,今後,どこの施設でも64列CTで診断が受けられるようになることが重要だと述べた。
東芝メディカルシステムズ社からは奥村美和氏(写真7)が,Aquilion
64の5つの最新技術動向について発表。コーン角を考慮した心電同期再構成法(MUSCOTからTCOTへ),ECGモジュレーション,Boost3D(ストリーク様アーチファクトの除去),SurePlaque(Plaque
View:エリアから直径とボリュームを計測),Deblurring(内腔のプラークの描出)などの最新技術を解説した。
「Multi center trial CorE 64」は2006年3月まで,世界9施設で350例の検査を行うことを目標としている。その後,検査データを1か所に集めて解析を行い,2006年9月までに論文を発表することをめざす。64列CTによる冠動脈疾患診断のエビデンスをもたらすものとして期待が大きく,結果の発表が待たれる。
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