プレスセミナー風景
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ベルンド・レネバウム氏
(写真1)
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森下 浩 氏
(写真2)
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木村 剛 氏
(写真3)
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シーメンス旭メディテック(株)は7月28日(木),東京のホテル西洋銀座で,「虚血性心疾患の最前線」と題したプレスセミナーを開催した。最先端のCTによる冠動脈疾患の診断は,低侵襲な診断法として注目されている。セミナーでは,2名の講師が実際の診断と治療について臨床例などを示しながら解説し,また,同社社員による技術解説も行われ,64マルチスライスCTの有用性と最新動向をアピールした。
はじめに,シーメンス旭メディテック(株)取締役/メディカルソリューションマーケティング本部本部長のベルンド・レネバウム氏(写真1)が挨拶に立ち,同社の2004年度の売り上げ実績などについて報告した。
もりした循環器科クリニック院長の森下 浩氏(写真2)は,「冠動脈CT Coronary
CT Angiography」と題して,CTを用いた冠動脈疾患診断が,ほかの診断法と比較していかに早期発見や早期治療に貢献できるかということについて,臨床例などを示しながら講演した。同院では,冠動脈CT造影検査の有用性に着目し,2005年5月,心筋梗塞や突然死を未然に防ぐことを最大の目的とした“心臓ドックセンター”を開設,関西で初の64マルチスライスCTを導入している。その理由として,これまでゴールデンスタンダードとされてきた心臓カテーテル検査が侵襲的な診断法であるのに対し,CTによる診断は低侵襲なだけでなく,心臓カテーテル検査よりも診断の確度が高いと述べた。実際に,64マルチスライスCTでは,心臓カテーテル検査ではわかりづらい冠動脈壁の状態まで描出することができるという。Lipid(脂質)の多いプラークは破裂しやすく,狭窄率よりもプラークの性状を正確に知ることが診断には重要であるため,今後は狭窄率を評価する時代から,冠動脈病変の質的診断をする時代へと変わって行くだろうとの考えを示した。
京都大学医学部附属病院循環器内科診療科長/大学院医学研究科内科学講座循環器内科学助教授の木村 剛氏(写真3)は,「冠動脈疾患に対するカテーテル治療の進歩」と題し,冠動脈疾患の治療法である,ステントによるPCIについて述べた。PCIにおいて,最も問題となるのはステント血栓症による再狭窄である。しかし,2004年に日本で販売が開始された薬剤溶出性ステント(Cypherステント)を使用した場合には,その危険性が大幅に軽減される可能性が高いと述べた。Cypherステントは,日本に導入されてからまだ日が浅く,臨床例が非常に少ないが,CypherステントによるPCIを実施している国内の施設からの,2004年5月〜2005年6月23日までの有害事象報告では,ステント血栓症の発生頻度はわずか0.2%であるとの結果が出ている。Cypherステントの導入は順調にスタートしたと言えるが,今後もステント血栓症には十分注意しつつ,健全な形でPCIの適用拡大を進める必要があると述べた。
今回のセミナーでは,同社のCTBMGマネージャーである松本浩司氏による,「CTの技術の変遷」と題した技術解説も行われた。2005年5月時点で,世界における64マルチスライスCTの稼働数は400〜450台であり,そのうちの約300台,シェアの約70%が同社の「SOMATOM
Sensation64」であり,世界一の導入実績を誇っているという。スライス数を増やすだけでなく,動いている冠動脈の非常に細い部分まで撮影できる技術を実現したことがその理由であると述べた。また,会場には,「SOMATOM
Sensation64」に実際に搭載されている,従来のわずか1/4のサイズの新型X線管球「StratonTM」が展示され,参加者の注目を集めていた。
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