東京大学安田講堂
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安田講堂内の会場風景
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中田 力 氏
(写真1)
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晝馬日出男 氏
(写真2)
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技術展示会会場(山上会館)
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第24回日本医用画像工学会大会が7月26日(火),27日(水)の2日間,縄野 繁大会長(国立がんセンター東病院放射線部)のもと,東京大学安田講堂および山上会館を会場に開催された。学生と機動隊の攻防の舞台であった伝説の安田講堂が会場とあって,ノスタルジーに浸る参加者もいたのではないだろうか。初日は台風の影響であいにくの天候だったが,参加者数は計323名と,例年とほぼ同じであった。今回初めての企画としては,東京大学医工/産学連携展示が設けられ,「Neuro
Fiber Tracking の共同開発」ほか,5つの共同研究開発が紹介された。縄野大会長は次回以降も継続的に,各大学からの積極的な参加を呼びかけている。
初日には安田講堂で,招待講演が2題行われた。まず,超高磁場MRI研究の第一人者である中田 力氏(新潟大学脳研究所・統合脳機能研究センター 写真1)が,「High-Field
MRI and Brain Science:高磁場MRIによる脳機能の研究──7T時代を迎えて──」と題して講演。新潟大学脳研究所には,1996年に3.0T
MRI,2003年に7.0T MRI(Issorar)が導入され,最先端の研究が続けられているが,臨床現場のルーチンシステムとしては3.0Tで十分ではないかと述べた。クリニカル3.0T
MRIで入手できる情報は,T2R,3DAC(three dimensional anisotropy
contrast),fMRIの3つに集約されるという。T2R+3DACの撮像時間は約1時間。T2R画像は,肉眼的病理学を超える高解像度を誇り,3DACはPROPELLERシーケンスの導入により,磁化率効果によるアーチファクトを抑えてルーチン化が可能になったとした。7.0T
MRIの最終目標は,in vivo MR Microscopyだという。高解像度MR画像が脳科学(なかでも心の解明)に果たす役割がますます期待される。
招待講演2は,浜松ホトニクス株式会社の晝馬日出男氏(写真2)が「光産業創成」をテーマに講演した。2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏(東京大学名誉教授)の研究を支えた,世界最大光電子増倍管を使ったスーパーカミオカンデで有名な同社の,光技術にこだわったユニークな開発コンセプトや事業内容などを披瀝した。
27日には,パネル討論「3DCT画像とCAD」が行われた。マルチスライスCTによる膨大な画像データがもたらす読影医の負担増加に対する診断支援をどのように行うかという観点から,6名のパネリストが発表した(表参照)。大量ボリウムデータ時代にCADへの期待は大きいと言えるが,実際の臨床使用に関しては課題も多いようだ。
次回の第25回日本医用画像工学会大会は,2006年7月21日(金)と22日(土),湊小太郎大会長(奈良先端科学技術大学大学院情報科学研究科教授)のもと,京都大学百周年時計台記念館にて開催される予定である。
パネル討論「3DCT画像とCAD」
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司会:西谷 弘(徳島大学)/田村進一(大阪大学)
PD1:3DCT診断とCAD
上野淳二(徳島大学医学部保健学科診療放射線技術学講座)
PD2:肺結節検出CADの使用経験 ──CADの臨床応用を考える
負門克典(聖路加国際病院放射線科)
PD3:胸部CT検診CADの使用経験
大松広伸(国立がんセンター東病院呼吸器科)
PD4:大腸におけるCT三次元表示法の開発
飯沼 元(国立がんセンターがん予防・検診研究センター検診部)
PD5:バーチャル内視鏡の開発──画像診断支援から手術支援まで
森 健策(名古屋大学大学院情報科学研究科)
PD6:診断支援ソフトの開発と展望
藤田広志(岐阜大学大学院医学系研究科知能イメージ情報分野) |
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