レクチャー会場風景
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ジョン・ルック・ブテル氏
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桜井靖久 氏
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天野恵子 氏
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福西秀信 氏
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島田 誠 氏
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在日米国商工会議所(ACCJ)医療機器・IVD小委員会主催の「先進医療技術の役割」第8回メディア・レクチャーが5月31日(火),帝国ホテル扇の間を会場に開催された。ACCJでは,患者のQOL向上に貢献する先進医療技術の具体的な役割を広く日本国民に啓発するためとして,
2003年からメディア関係者を対象とした講演会やシンポジウムなどのキャンペーンを展開している。今回は第1回目のテーマである「乳がん」に引き続き,3人の講師が『性差医療と女性の健康「子宮筋腫と性器脱・尿失禁」と先進医療技術』をテーマにレクチャーを行った。
レクチャーに先立ち,ACCJ医療機器・IVD小委員会委員長のジョン・ルック・ブテル氏が本会の開催趣旨について説明した。先進医療技術は日本が現在直面しているさまざまな問題を改善するために役立つものであり,患者への啓発を通して,日本では未承認の技術の承認が促進されることを期待すると述べた。また,東京女子医科大学名誉教授の桜井靖久氏は,先進医療技術が日本にどのような利益をもたらしたかなどについて語り,医療の質やQOLの向上,安全性の確保,効率化などは,先進医療技術の進歩なしには語れないと話した。
続いて,千葉県衛生研究所所長の天野恵子氏が「性差の視点で医療を考える」と題したレクチャーを行い,女性のエビデンスの低さが重要な疾患を見逃す原因となっていると指摘した。ホルモンの周期という変数が加わると研究対象の均一性が低下するなどの理由から,臨床研究から女性が除外される例が多かったためであるとし,問題の解決には女性のエビデンスを集め,性差についての 研究を深めることが重要であると述べた。
また,新須磨病院婦人科の福西秀信氏は「子宮筋腫について」と題したレクチャーの中で,低侵襲の子宮筋腫の治療法であるMRIガイド下収束超音波手術(FUS)について,その他の治療法と比較しながら具体的に述べた。FUSは筋腫の位置によっては治療できない,健康保険が適用されないなどの課題はあるものの,安全性が高く,治療後の患者の80%以上に改善が見られるなどメリットが大きいと強調した。
『中高年女性に多い疾患「性器脱・尿失禁」の最新治療法』と題した昭和大学横浜市北部病院泌尿器科の島田 誠氏によるレクチャーでは,2001年の開院と同時に「女性泌尿器外来」を設けた同院の取り組みや,日本未承認の治療器具の有効性,独自に作製した器具による治療の成果などが具体的に述べられた。
今回のレクチャーは女性の健康をテーマにしているとあって,女性のメディア関係者が会場の大半を埋めた。質疑応答では,特に子宮筋腫の治療法に関する質問が多く,低侵襲な治療法やその効果に注目するメディアの動向がうかがえた。
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レクチャー会場に展示されたGE社製の心電計12SL。性差が考慮されたプログラム設定により,これまで見落とされてきた女性の急性下壁心筋梗塞の検知精度が相対的に28%向上した。アメリカではすでに70%のシェアを占めているという。 |
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