長谷川 博 氏
((株)オーク情報システム代表取締役社長)
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柳沼 豊 氏
(BIT Computer社
技術顧問)
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稲邑清也 氏
(関西国際大学経営学部長)
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村岡勝美 氏
(亀田総合病院付属幕張クリニック)
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(株)大林組の子会社である(株)オーク情報システムは3月11日(金),メルパルク東京において,第1回「メディカルITセミナー」を開催した。
2月にメディカル事業部を立ち上げたばかりのオーク情報システムは,韓国に本社を置くBIT
Computer社と手を組み,小規模病院・クリニック向けのPACS事業に参入した。核となるソフトウエア「BIT
Real PACS」はBIT Computer社が開発を手掛けており,オーク情報システムは,同ソフトを搭載したPCなどのハードウエア製品を含めたシステムを国内販売する。
セミナーでは講演に先駆け,柳沼 豊氏(BIT Computer社技術顧問)が,「BIT
Real PACS」の技術紹介を行った。BIT Computer社がPACSを発表したのは4年前,韓国で開発された。本来,「BIT
Real PACS」はDICOMサーバなどを備えたシステムであるが,日本ではDICOMサーバを必要としない小規模施設向けに,ビューワの機能などを強化した多機能・低価格のファイリングシステム「BITfileシリーズ」(全3製品)として提供される。標準的なシステムは,液晶モニタを搭載した汎用のPCと,ミラーリング機能付きの外付けハードディスク,バックアップ用のDVD-RAMで構成。特にハードディスクは必要に応じて増設可能で(最大4台),サーバのような感覚で使用できる。また,モニタも3Mピクセルまであり,用途に適した製品を備えている。1台でビューワ,ファイリング,ゲートウェイ,ファイルコンバート機能などを標準搭載し,多彩なニーズに対応するシステムとなっている。
講演では初めに,「PACSと診療情報の電子的有効活用における世界の動向」をテーマに,稲邑清也氏(関西国際大学経営学部長)が,電子カルテと医療画像情報が統合化されつつある現在の状況を紹介。なかでも,統合化での典型的な応用例として,読影レポートの標準化の1つであるStructured
Report(SR:構造化レポート)を挙げてその重要性を強調した。IHEのレポート関連の統合プロファイルにもあるように,現在,電子データである読影レポートの流動性の悪さを解消するための標準化が重要になっている。稲邑氏はSRを積極的に利用することで,診断レポートの質を底上げできると述べた。
続いて,「BIT PACS Management System(PACS Manager)の開発過程と今後の運用についての期待(ユーザーからの使用経験から)」と題して,村岡勝美氏(亀田総合病院付属幕張クリニック)が講演した。村岡氏は,新たにモダリティを追加導入する際にさまざまな問題点が生じたが,相談を持ちかけたBIT
Computer社はその都度,BIT PACSに新機能を追加することで解決してきたと述べ,BIT
PACSは医療現場の声を反映した実用性の高いシステムであることを示唆した。
現在,小規模施設向けのPACSを手掛ける企業は少ないが,デジタル情報ネットワークを利用した病診連携が急速に推進されている現状などを考えれば,今後の成長市場として期待度は高い。新たに参入したオーク情報システムの今後の事業展開に注目したい。
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