取材報告

2005
島津製作所,“第82回レントゲン祭”を開催
創業130周年を迎え,さらなるX線技術の向上を誓う

“第82回レントゲン祭”で祭詞・献花を行う服部重彦 氏(代表取締役社長)
“第82回レントゲン祭”で祭詞・献花を行う服部重彦 氏(代表取締役社長)

 

松山恒和 氏
松山恒和 氏
(取締役医用機器事業部長)

塩見 剛 氏
塩見 剛 氏
(医用機器事業部
マーケティング部主任技師)

清水公治 氏
清水公治 氏
(医用機器事業部技術部課長)


 本年3月で創業130周年(1875創業)を迎える株式会社島津製作所は,2月10日(木),同社三條工場研修センター(京都市中京区)において,恒例の“第82回レントゲン祭”を開催した。“レントゲン祭”は,1895年にX線を発見したレントゲン博士の偉業を讃え,X線技術の発展に向け,決意を新たにするために毎年催されている。同社は,レントゲン博士のX線の発見の翌年である1896年には,島津源蔵(島津製作所の二代目)らによって桐箱に入った1円銀貨のX線撮影に成功。実験を繰り返して国内初のX線装置を製品化した。以来同社は,100年を超える長い間,X線技術で最先端を走り続けている。そして,究極のX線技術と言える世界初の直接変換方式FPDの開発・製品化に成功し,一昨年9インチ角直接変換方式FPDを搭載した循環器システム「DIGITEX Safire」を発表した。さらに昨年11月には,17インチ角直接変換方式FPDを搭載した一般X線撮影システム「RADIOTEX Safire」と,17インチ角直接変換方式FPDを搭載したデジタルテーブル「Sonialvision Safire」と立て続けに発表している。式典では,松山恒和氏(取締役医用機器事業部長)が“さらなるX線技術の向上を図ることで,テクノロジーの島津として医療に貢献する”との決意を述べていた。

 “第82回レントゲン祭”の後で行われた記念講演会では,X線技術のさらなる向上を目指すとして,「FPDの現状と将来―新アプリケーションへの挑戦―」と,分子イメージングの尖兵はPETであるとして「分子イメージングの現状と展望―超早期診断の実現に向けて―」の2つのテーマで講演が行われた。

 「FPDの現状と将来―新アプリケーションへの挑戦―」を講演した塩見 剛氏(医用機器事業部マーケティング部主任技師)は,X線検出器の歴史を紹介し,“フィルムと同等以上の高画質で動画像を実現する”というFPD開発のコンセプトと,静止画・動画の用途別であった検出器を統合した直接変換型FPDの技術を説明した。その上で,直接変換型FPDを搭載した循環器,一般撮影,透視台システムの新製品での臨床画像を紹介した。そして,FPD開発と並行して研究開発を進めてきた「高速RSM画像処理」と,大視野かつ高画質の特性を生かす新アプリケーションの現状と将来展望について述べた。

 「分子イメージングの現状と展望―超早期診断の実現に向けて―」で講演した清水公治氏(医用機器事業部技術部課長)は,分子・細胞レベルで生じる生物学的,病理学的変化を画像化することを目的とした分子イメージング(狭義では遺伝子発現を生きたまま画像化する技術)は,超早期診断・治療を可能とし,再生医療,テーラーメード医療,ゲノム創薬などが期待されると述べた。また,PET,SPECT,MRI,光,超音波などの装置が使用されるが,遺伝子発見によって生じる分子を標的にした分子プローブの開発が重要となっていると説明。現在,ガンマ線プローブ,光プローブ,磁性体など生体機能を探索する分子プローブの研究が,マウスなどのモデル動物を用いて精力的に行われているとし,国内唯一のPET開発・製造メーカーである島津製作所の分子イメージングでの果たす役割は大きいとまとめた。



●問い合わせ先
株式会社 島津製作所医用機器事業部マーケティング部販売促進課
TEL 075-823-1271 FAX 075-811-8185
http://www.med.shimadzu.co.jp