取材報告

2005
JAHIS,第10回「JAHIS講演会」を開催

会場風景


田中 博 氏
田中 博 氏
(日本医療情報学会会長)


向井 保 氏
向井 保 氏
(MEDIS-DC理事長)


町田 昇 氏
町田 昇 氏
(経済産業省)



 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)は1月28日 (金),コクヨホール(東京)において,第10回JAHIS講演会を開催した。2002年の第9回から3年ぶりに開催された今回は,日本医療情報学会,(財)医療情報システム開発センター(MEDIS-DC),経済産業省から3氏が招かれ,医療情報におけるそれぞれの取り組みなどが報告された。

 はじめに,「日本医療情報学会が目指すもの」として,田中 博氏(日本医療情報学会会長)が,学会の今後の取り組みと展望を述べた。田中氏はまず,今期の学会の基本方針として,1)学会体制の確立と拡充(法人後の学会運営,支部体制の充実など),2)国・社会への積極的取り組み(国・行政への提言,医療情報技師育成事業の発展と努力など),3)先端的IT課題へのリーダーシップ確立の3つを掲げ,電子カルテをはじめとした情報システムの普及をさらに推進する考えを提示。特に,3)においては,近未来の先端的な医療情報であるゲノム医療とユビキタス医療を核として,それぞれ専門の臨時委員会を設置するなど,数年後には訪れると予想されているそれら先端的医療での先駆的な役割を果たしたいという考えを示した。

 引き続き,向井 保氏(MEDIS-DC理事長)が「MEDISの目指すもの――設立30年を経過して」と題して,組織として30年を経過したMEDIS-DCの今後の目標を示した。MEDIS-DCでは現在,標準マスターをはじめとした医療情報システムの基盤づくりや,医薬品情報などの医療情報の提供,政府の医療IT施策の実施支援を主な事業として位置付けている。今後は組織の見直しを図り,より生活者や患者,医療機関側に近づくことで,新たな役割を担っていきたいとした。

 行政側からは,町田 昇氏(経済産業省サービス産業課医療・福祉機器産業室課長補佐)が「経済産業省における保健医療福祉分野の情報化に向けた取り組み」と題して,経済産業省での今後の施策などを紹介した。政府ではe-Japan戦略などを掲げ,経済産業省や厚生労働省が中心となり,医療情報システムの確立を推進している。そうしたなかで,経済産業省では医療情報のさらなる発展をにらみ,今後は,医療情報システムにおける相互運用性の実証事業と,医療情報管理者育成のためのモデルプログラム開発事業の実施を中心に展開する計画であるという。特に医療情報管理者については注目度が高まっているが,同氏は,「資格化するといった具体的な内容についてはまだ検討段階」であるとの見方を示した。

 本講演会は,工業会の会員を中心とした保健医療福祉情報システム関係者に対して,今回話題に上った医療情報技師に関する内容をはじめとした最新情報の発信の場として,非常に有意義な会であると言える。JAHISでは,講演会を通じて,今後の企業活動や情報化の取り組みに役立ててほしいとしており,次回以降も注目度の高いトピックスを取り上げていくことを示唆した。



●問い合わせ先
 保健医療福祉情報システム工業会:事務局
 TEL 03-3506-8010
URL http://www.jahis.jp