フィリップスメディカルシステムズ(株)は10月2日(土),東京コンファレンスセンター品川において,「Parallel
Imaging Symposium Tokyo 2004」を開催した。今回で7回目を数える本セミナーは,フィリップス製品のユーザーだけでなく,また,特にParallel
Imagingに限定したテーマだけではない,MRIをひろく学ぶ会として評価されている。現在,先進的な技術として注目されているq幹部拡散強調画像をはじめ,MRIの最新動向および臨床的有用性について,8氏による講演が行われた。
第1部「最近のMRI診断の現状」では,似鳥俊明氏(杏林大学医学部放射線医学)が座長を務め,3氏が講演した。はじめに,今岡いずみ氏(天理よろづ相談所病院放射線部MR部門)が,「子宮のMRI―高速撮影法の新たな臨床応用の試み」と題して講演。子宮のMRIにはさまざまな撮像法があるが,T2強調像をいかにきれいに撮像するかが重要であり,ほかのシーケンスに集中し過ぎるのは賛成できないとした。次に,南
学氏(筑波大学臨床医学系・放射線医学)が,「MDCT時代における腹部MRIの活用法」について講演。MDCTで腹部画像診断のかなりの部分はカバーできるため,MRIはより高度な問題解決の手段や他の有効な部位の検索に利用できるが,一方で,MRIは,Parallel
Imagingや拡散強調画像などの技術革新を遂げており,医療経済的に見れば腹部画像診断は,MRIを中心にフローチャートがまとめられるだろうとした。続いて,上谷雅孝氏(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線生命科学講座)が,「早期関節リウマチのMRI診断」として,RAの早期診断には血清マーカーとMRI所見との組み合わせが有効であることなどを示した。
第2部では栗林幸夫氏(慶應義塾大学医学部放射線診断科)を座長に,「心臓・血管領域のMRI」をテーマとして2氏が講演を行った。まず,佐久間肇氏(三重大学医学部附属病院画像診断科)が「Whole
heart MRAの現状と将来展望」と題して,Whole heart coronary MRAについて解説。シネMRI,安静・負荷心筋パーフュージョンMRI,遅延造影MRIを含む心臓のルーチンMRI検査には,現在約40分かかるが,高速イメージング法により,撮影をさらに高速化すると,総検査時間をどの程度短縮できるかに焦点を当てた。次に,吉田和道氏(倉敷中央病院脳神経外科)が,「頸動脈のプラーク画像」について講演し,MRIによるプラーク評価の利点として,病変の高位・屈曲など解剖学的要因に左右されず,非侵襲的かつ客観的にプラークの性状を評価できる点を挙げた。
那須克宏氏(国立がんセンター東病院)が座長を務めた特別企画「体幹部拡散強調画像の臨床応用」では,3氏が講演した。はじめに,高原太郎氏(東海大学医学部基盤診療学系画像診断学)が,「躯幹部拡散強調画像の概要」として,呼吸停止なしで広範囲のDWIを高いS/Nで得ることができる「DWIBS(Diffusion
weighted Whole body Imaging with Background body signal Suppression:全身(広範囲)の拡散(強調)背景抑制法)」について解説した。次に,原留弘樹氏(杏林大学医学部放射線医学)が「躯幹部拡散強調画像の臨床」として,腹部拡散強調画像について述べ,良性・悪性問わず,病変の拾い上げに非常に有効であることなどを挙げた。続く「躯幹部拡散強調画像の不思議」では,那須氏が,拡散現象を数式で示すなど,拡散強調画像の基礎解説を行った。
最後に,「躯幹部拡散強調画像の機序と今後の課題」をテーマに討論の時間が設けられ,会場からもエビデンスの証明と確立が必要とする率直な意見や質疑が出された。予定の時間が大幅に延長されたにもかかわらず,注目の拡散強調画像をはじめとした最新技術の講演に,多数の参加者が最後まで熱心に耳を傾けていた。
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