AZE,「INNOVATIVE AZE 2004 NAGOYA」を開催 |
医療用ワークステーション「Virtual
Placeシリーズ」は,2001年に発売開始以来急速に納入実績を伸ばし続けている。さらに本年,画質と操作性を大幅に向上させた「Virtual
Place PLUSシリーズ」の発売開始により,2004年9月の時点で240台の納入実績を実現した。発売元である(株)AZEは,十二分にVirtual
Placeシリーズを使いこなしてもらい,臨床現場 の意見を的確に吸収していくために,セミナーおよび意見交換会を頻繁に行っている。9月25日には,ウェスティンナゴヤ キャッスル(名古屋市西区)において,“INNOVATIVE
AZE 2004 NAGOYA”を開催した。
セミナー前半では,市川秀男氏(大垣市民病院医療技術部診療検査科科長)を座長に,頭部・心臓・腹部・消化管といった部位ごとに,撮影(撮像)とワークステーションの活用法が 6人の演者により紹介された。3D 画像は,単にワークステーション上の操作だけで作成するものではなく,医学的知識・解剖学的知識が必要であり,スキャン方法にも違いがあることを座長の市川氏が強調していたが,3D画像作成の前提を十二分に理解した演者による講演は説得力を持つものであった。講演は「MRを用いた画像処理(頭部領域)」のテーマで菊池康隆氏(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院画像診断部)が,頭部領域におけるMR撮像法や画像処理の利用法を紹介し,特に造影MRAにおいては,時間分解能や空間分解能をワークス テーションによりカバーできるなど,ワークステーションはMRの特性を引き出し,価値を高めるものであるとした。「頭頸部血管3D-CTAを中心としたWorkstationの活用方法と有用性」について発表した木村幹郎氏(横浜市立大学医学部附属病院放射線部)は,頭頸部領域の主な3D検査として,頭頸部血管3D-CTA(動脈瘤,動脈狭窄,AVM,脳腫瘍など),顔面および頭蓋骨(骨折,形成不全,腫瘍など),頸部(頸椎骨折,軟部腫瘤,喉頭腫瘍など)などを紹介した。そして,ワークステーションの有用性として,作業時間の短縮および時間の有効活用,ならびに汎用性の広さを挙げ,ワークステーションの導入により特殊検査として扱っていた3D検査が通常検査として行うことができるようになったとした。「心臓3D-CTAに関するルーチンワーク―頸動脈狭窄例―」で発表した吉川浩靖氏(岡山東部脳神経外科診療放射線部)は,増加する頸動脈狭窄病変の治療として頸動脈内膜剥離術が多く施行され,その合併症である冠動脈疾患(心筋梗塞・心筋虚血)を見るために術前の冠動脈検査は有効であるとして,16列MDCTによる心臓3D-CTA検査を紹介した。そして,ワークステーションを用いることで,数百,数千の画像をよりわかりやすく,より少ない容量で提供できるため,DSAや手術などの指標として有効であるとした。「日常診療に役立つ! 腹部領域におけるワークステーション使用例」で発表した山本晃義氏(共愛会戸畑共立病院放射線部)は,時間に追われる日常業務の中で,短時間で臨床に役立つ画像処理を行う方法を紹介した。そして,診断や治療に役立ち,患者さんにわかりやすい画像処理とは,病変部が明瞭であることと,臨機応変に画像処理を行うことが必要で,必ずしもベストイメージである必要はないとした。さらに,説得力のある画像を提供するために,リアリティにこだわることも必要であると述べた。「大腸専用ソフト搭載ワークステーションを用いたCT Colonographyの使用経験」で発表した上田規靖氏(埼玉県立がんセンター放射線技術部)は,従来のワークステーションでも大腸の3D表示は可能であったが,大腸専用ソフトを用いることにより,簡便で短時間に障害陰影の少ない画像描出が可能となったとした。「3D DIC-CTでの胆道系管腔内描出Virtual Double-Contrast Imagingの試み」を発表した棚橋正博氏(岐阜県立多治見病院中央放射線部)は,16列MDCTの導入により体軸方向の分解能が向上し,これまでよ り微細な構造まで描出可能となったことから,管腔内の凹凸,結石等を立体的に描出するため,Virtual Double-Contrast Imaging(擬似二重造影)を行っているとした。そして,Volume Rendering Displayのカラーマップ上のオパシティーカーブの最適化を図ることで,胆道系の内腔の性状,結石等の存在を一度に描出できる点において,Virtual Double-Contrast Imagingは非常に有用であるとした。 セミナーの後半では,まず上田克彦氏(山口大学医学部附属病院放射線部)を座長に,坂野信也氏(大垣市民病院医療技術部診療検査科中央放射線)による「カーブドMPRの有用性について」の講演が行われた。同氏は,カーブドMPRとは彎曲・蛇行した脈管や臓器に沿った断面を再構成することで,任意の断面が描出でき,さらにその断面を回転することで,腫瘍や隣接臓器との関係がわかりやすく,脈管や長い臓器の全体像が一断面で観察できるとした。応用できる臓器として,食道,気管・気管支,胆管,各種動脈・静脈などがあるとした。 次に,村上卓道氏(大阪大学大学院医学系研究科医用制御工学講座助教授)を座長に,船橋伸禎氏(千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学)による「最新CTを用いた心大血管の四次元,五次元画像診断」の講演が行われた。心電同期可能なマルチスライスCTが普及し,3次元画像診断によって心大血管の形態学診断は飛躍的に発展した。さらに拍動する3次元画像(4次元画像診断)まで発展することで,形態診断に加えて機能診断も可能となりうるとし,3次元・4次元画像の臨床例を紹介した。そして,今後の循環器CT診断の流れとして,立体CT(256列検出器やFPDを採用した1臓器1回転撮影)を,実際の256列検出器にて撮影された画像を示しながら紹介し,従来とは異なる画像診断の可能性を示唆した。 最後に,村上省吾氏(更正会村上記念病院放射線科医長)を座長に,森下 哲氏(高知大学医学部附属病院放射線科)による「3DCTによる腹部血管描出の基本とその臨床応用」の講演が行われた。同氏はシングルCT・ヘリカルCT,そして現在のMDCTまで,3DCTの歴史とMDCT angiographyの利点・欠点を紹介した。そして,腹部血管描出の基本として,MIPおよびボリュームレンダリングの作成方法や長所・短所を紹介し,両者の使い分けが必要として臨床例を示した。 セミナーの合間には,Virtual Place Advance PLUSシリーズの最新機能等の紹介や,11月1日リリース予定のVirtual Place Advance PLUSのバージョン2.03の新機能(@Windows XP Service Pack 2への対応,Aリージョングローイング機能の改良,BカーブドMPR作成機能の大幅機能強化,C3D画質強化,DMR Ejection Fraction解析オプション追加など)が紹介された。また,セミナー終了後に行われた情報交換会では,石風呂実氏(広島大学医学部附属病院放射線部)を講師に,「現場におけるVirtual Placeの使われ方」の実演などが,実際にVirtual Placeを操作しながら行われ,意見交換は活発なものであった。
●問い合わせ先 |
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菊池康隆 氏 (聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院画像診断部)
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木村幹郎 氏 (横浜市立大学医学部 附属病院放射線部)
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◆カーブドMPRの有用性について
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坂野信也 氏 (大垣市民病院医療技術部 診療検査科中央放射線) |
◆最新CTを用いた心大血管の四次元,五次元画像診断
座長:村上卓道 氏 (大阪大学大学院医学系研究科 医用制御工学講座助教授) |
船橋伸禎 氏 (千葉大学大学院医学研究院 循環病態医科学) |
◆3DCTによる腹部血管描出の基本とその臨床応用
座長:村上省吾 氏 (更正会村上記念病院 放射線科医長) |
森下 哲 氏 (高知大学医学部附属病院 放射線科) |
Virtual Place Advance PLUS バージョン2.03の新機能を紹介する 桝本 潤 氏(最高開発責任者) |
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石風呂実 氏(広島大学医学部附属病院放射線部)を講師に「現場におけるVirtual Placeの使われ方」の実演が行われた。 |
新登場の2画面タイプのワークステーションと 1TBの大容量外付ハードディスク |