健康と医療フォーラム実行委員会,日本経済新聞,NHKが主催する「みえる・わかる・家族の健康 か・ら・だ博」が,8月3日(火)〜8日(日)の6日間,東京ビッグサイトで開催された。体験して遊びながら学べる新しいタイプのイベントで,来場者は6日間で合計8万1016人を記録した。
「か・ら・だ博ミュージアム――からだのしくみと機能を詳しく知ろう」では,マルチスライスCTによる3D画像(協力:東芝メディカルシステムズ)や人工臓器などが展示され,人体の形と構造,臓器の機能などがわかりやすく紹介されていた。また,「がん」のコーナーでも,乳がんの触感がわかる乳房の模型やマンモグラフィ装置などが展示され,がんを「知る,見つける,闘う,共に生きる」をテーマに,最新の診断機器や治療の技術,がん治療薬などが紹介されており,来場者に“がんをよく知って,恐れることなく,積極的に検査を受けよう”と訴えかけていた。このほか,「考えよう〜現代人の病気と予防」,「食と健康コーナー」,「運動とからだの広場」などが設けられ,特に,血液検査などが受けられる「臨床検査体験パビリオン」では長い行列ができ,体験型の企画は大人気であった。
一方,企業による出展で目を引いたのは,大きな人体の形でブース全体を覆ったオリンパスが,内視鏡の操作を来場者に体験してもらうというものや,東芝グループのブースでは,CTとMRIの実物大の模型が展示されていた。日立グループは,「ようこそ,ハイテクホスピタルへ」と題し,PET診断をはじめとした最新医療の世界を,特設ステージの巨大スクリーンで見せていた。このほか,「社会は大きなホスピタル――進化する病院」に出展した富士通や,多くの協賛出展企業がところ狭しと,体験参加型ブースで来場者の興味を誘っていた。さらに,「ウェルカムステージ」や「NHK生中継ステージ」でも,連日,タレントやアスリートが自らの健康法を披露するなど,興味深い内容が満載であった。
一方,別会場にて,会期中さまざまなシンポジウムやセミナーが開催さ れた。
5日には,小誌の8月号で特集した「放射線治療」と,最近注目されている「免疫細胞療法」をテーマにしたシンポジウム「進化するがん治療」が行われた(次頁のコラム参照)。第1部は化学放射線治療科学研究会主催で,治療医,工学者,患者がそれぞれの立場から,放射線治療の有用性を訴えた。第2部主催の特定非営利活動法人東京地域チーム医療推進協議会(Team
NET)は,現在,東京都臨海副都心の有明に移転新築中の癌研究会有明病院の開院時期(2005年)に合わせ,同地に,国際基準に照らして遜色のない高度な医療サービスが提供できる共同利用型がん治療施設設立を目標に活動している。Team
NETが目的としている「患者や生活者の視点で,より良い医療サービスを提供するために医療機関の経営主体を超えた共同事業の実現」の主旨説明など,本シンポジウムは,一般市民に情報発信し,さらに多くの賛同を得たいとして企画されたものだ(Team
NETホームページ:http://www. tewm-net.jp)。
ほかにも,「健康サービス産業振興機構」のNPO法人設立に向けた発起人総会を記念した講演会が開かれるなど,「か・ら・だ博」は,一般の人々に向けた“祭典”にとどまらず,医療と健康サービスの品質向上を目指して,最新の学問的知見や先進医療などの情報交流,国民へ向けての情報発信などを行う空間でもあった。
●問い合わせ先
日本経済新聞社「か・ら・だ博」事務局
TEL 03-5255-2847
http://karada-haku.jp