GE横河メディカルシステム(株)は9月1日(水),高輪プリンスホテル(東京)において,医療機関向けセミナー「Advanced
MR Seminar 2004」を開催した。座長に大友 邦教授(東京大学大学院医学系研究科放射線診断学)を迎え,技術と臨床の両面から,国内薬事未承認内容を含む最新MR技術動向が紹介された。
まず,侵襲性の低い子宮筋腫の治療法として注目を集めているMRIガイド下の集束超音波手術(FUS)について,Roni Yagel氏(InSightec社
Vice President)が技術紹介を行った。同氏は,画像上で温度変化を確認しながら確実に治療を進められる点や,合併症を避けることに役立つ点などのFUSの特長を挙げ,安全性が高いメリットを強調。また,FUSは子宮筋腫以外のさまざまな部位への応用が考えられ,同社では現在,それらに対するアプリケーションを開発中であるとした。
続いてHyun S.“Kevin”Kim氏(Johns Hopkins大学)が,「Clinical Experience of Focused
Ultrasound」と題して,FUSの臨床応用について報告した。現在はFDA(米国食品医薬品局)により照射面積などさまざまな制限があるが,Johns
Hopkins大学では多くの子宮筋腫症例においてFUSが高い有用性を示したという研究結果を出しており,それらの制限が改善されることで今後はさらに発展した治療ができるだろうとした。
続いてDavid B. Ferguson氏(GE Healthcare)が「Personalized Healthcare &
MR Molecular Imaging」と題して,13Cの分子イメージングにおけるMRIの役割について解説。動物実験段階ではあるが,腎や心臓などにおける灌流をコントラスト良く描出することができる点などを紹介し,今後の可能性に大きく期待できる技術であるとした。
最後にWilliam G. Bradley氏(California大学San Diego校)が,「New Standards of
3.0T Whole Body Imaging」と題して,全身用3.0T MRIの使用経験について報告した。同氏はまず,「現在,各メーカーから優れた技術を搭載した種々の3.0T装置が発表され,機が熟している」と述べた上で,3.0T
MRI装置は1.5Tの2倍のS/Nを持ち,空間分解能が飛躍的に向上しており,さらに,パラレルイメージング法により撮像スピードも高まっている点を改めて評価。心臓やSpineイメージング,MR
Angiographyなど,あらゆる領域において非常に有用であり,特に,乳腺領域で示す優れた有用性は,3.0T MRIのキラーアプリケーションとなるだろうとした。
セミナーは,平日の夜からというプログラムにもかかわらず,約200名の参加者が詰めかけた。海外における全身用3.0T MRIの優れた成果を目のあたりにして,わが国での許可が待たれるところである。
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GE横河メディカルシステム(株)広報担当:松井
TEL 042-585-9249
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