GE横河メディカルシステム(株)は,16列マルチスライスCTでの“1呼吸停止下での撮影”の世界から,“1回転での撮影”という新しい世界を実現する次世代CTとして開発された,64列Volume
CT「LightSpeed VCT(ライトスピード・ブイシーティー)」の新製品記者発表会を9月7日,ホテルニューオータニ(東京・千代田区)において開催した。
GEが総力を結集し,技術の粋を集めて開発したとされる64列Volume CT「LightSpeed VCT」では,1スキャン0.35秒の高スピードで0.625mmの断層像を,最大64枚同時に撮影することができ,撮影範囲は40mmをカバーする。さらに,毎秒175mmという高速スピード撮影ができ,短時間で膨大なボ リュームデータが取得できる。そして,新型検出器とパワーアップされたコンピュータとの同期化により,膨大な断層画像と超高速3次元立体画像の再構成を迅速に行うことができ,診断のスピードアップ,検査効率の一層の向上が図れるとした。
記者発表でLightSpeed VCTの臨床的有用性を述べた栗林幸夫氏(慶應義塾大医学部放射線科教授)は,心臓領域におけるCT検査は非侵襲的な検査として特に注目されているとしながら,5心拍で心臓撮影ができるLightSpeed
VCTは,CTでの心臓検査の信頼性を向上させ,適用範囲を広げる可能性があるとした。さらに,頭頸部領域では,頭部のウィリス動脈輪を1回で転撮影可能で,Perfusion(機能診断)と3D-CTA(形態診断)の同時取得が可能であり,同時に血流情報の取得も可能となりうるとした。全身撮影も,1mm未満の精密収集を10秒以下で撮影可能であるため,すべての検査が高分解能になるという。また,造影剤の低減と造影効果の向上により,診断能の向上と患者さんの負担軽減が図られるとした。
この高い診断能を有するLightSpeed VCTを支える技術として,Volume CT用に開発されたBacklit Diode(電気信号 フォトダイオード背面通過型:ワイヤーによる光の遮断がなく,利用効率を大幅に向上させている)などにより,瞬時のボリュームデータ取得を可能にした“V-ResTM
Detecter”,0.35秒スキャンの高速撮影のために最大出力120kV/800mA,連続照射においては120kV/500mA@50秒を実現した管球“Performix
Proム X-Ray Tube”など,多くの最先端技術の開発を挙げた。さらに一方では,ノイズの改善,X線の効率の向上,40mmという幅によるオーバーラップ分の減少,心臓以外のX線をカットするカーディアックフィルタといった技術により,被曝低減も図られているとした。
【その他のLightSpeed VCTを支える最先端技術】
● 従来のシングルヘリカルCT1台分のデータ処理を1枚の基盤で処理することを可能にした,超コンパクト・高性能DAS“VoralaTM
Digital DAS”
● 画像の歪みとなるコーンビーム,ヘリカルアーチファクトを限りなく低減し,0.625mm×64列,40mm収集を可能にした“3DBP
Algorithm”
● 従来のXtream Consoleをさらにパワーアップし,高速画像計算,再構成(画像再構成時間16枚/秒),新たなアプリケーションが豊富に搭載され,撮影から画像観察までの ワークフローを高速化。
価格は12億円。国内では初年度100台の販売を目指す。
●問い合わせ先
GE横河メディカルシステム(株)
広報グループ・松井 TEL042-585-9249