INNERVISION

 

 

 

 

 


黒川 清 委員長
(東海大学教授,
日本学術会議会長)


濱田幸夫 氏
(厚生労働省医政局総務課)


Simon P. Cohn 氏
(カイザーパーマネント・
ヘルスプラン社)


Robert E. Lewin 氏
(プライバシー・
コンサルティング・
サービス社)


JACHI,
インターネット上での
医療情報提供をテーマに
日米合同シンポジウムを開催

 

 NPO法人日本技術者連盟の医療健康情報認証機構(JACHI)は6月14日(月),NTTデータ駒場研修センター(東京)において日米合同シンポジウムを開催した。このシンポジウムは,インターネット上での医療情報提供をテーマにしたもの。「医療健康情報の第三者認証機構と米国HIPAA法最前線」と題し,日米両国から演者を招いて講演が行われた。
 主催する日本技術者連盟は,2000年2月に設立。これまで,Webサイトにおける個人情報保護の審査と,その認証シールを発行するTRUSTe認証機構の運営や,プライバシー教育に取り組んできた。さらに,2004年1月には,医療・健康分野のWebサイトを対象に,個人情報や,個人の医療情報の保護,発信される情報の信頼性を確保することを目的としたJACHIを発足。その活動の一環として今回のシンポジムが開催された。講演は,2003年4月に施行されたHIPAA法のプライバシー規則についての解説や,「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」の施行など,わが国でも医療情報の扱いが大きく変わりつつある状況を踏まえた内容となった。
 最初の招待講演では,「インターネットによる医療健康情報の認証と現状の重要性について」と題して,厚生労働省医政局総務課課長補佐の濱田幸夫氏を演者に迎え行われた。濱田氏は,医療機関の広告規制緩和の流れや,インターネットでの医療情報提供の動向について説明し,個人情報保護法を踏まえた今後の方向性について,厚生労働省の見解を示した。これに引き続き,カイザーパーマネント・ヘルスプラン社のSimon P. Cohn氏による,「医療情報インフラストラクチャーの構築に向けて──米国での経験」をテーマにした基調講演があった。この講演でCohn氏は,HIPAA法施行から1年が経過した現状と課題について報告し,さらに,米国の医療情報インフラストラクチャー(NHII)の構築に向けた連邦政府の取り組みについて説明した。
 このほかにも,世界的にプライバシーシールプログラムを展開するTRUSTeのCEOを務めたRobert E. Lewin氏(プライバシー・コンサルティング・サービス社)が「JACHIeヘルスケアプログラム」と題した講演を行った。Lewin氏は,JACHIが医療情報を提供するWebサイトに対し,どのような認証を行っていくかを解説。また,認証に適したWebサイト構築を支援するコンサルタント育成のための「認定eヘルスプロフェッショナル制度」についても説明した。この後には,シンポジウムのまとめとして,JACHI委員長の黒川 清氏(東海大学教授,日本学術会議会長)が,同機構設立の趣旨について講演した。
 患者らが医療機関を選択する場合,インターネットを利用し,その情報を参考にするケースが増えている。その一方で,医療法では,テレビCMなどの広告と違いWebサイトでの広告は対象外となっており,誇大広告が問題化している。こうしたなか,東京都が今年からWebサイトの内容についてルール化に取り組み始めるなど,情報の信頼性,安全性を確保する動きが活発化している。JACHIでは,今後,利用者が安心して情報にアクセスできるよう,情報提供者が守るべき「eヘルス倫理規約」を,情報開示,コンテンツ,プライバシーなど10項目にわたり策定する。さらに,倫理規約を遵守しているWebサイトに,信頼性,品質を保証する認証シールを発行していく。この業務については,全国規模で行うため,業務委託するパートナー企業と協力して行うという。合わせてJACHIでは,Lewin氏の講演で紹介された,「認定eヘルスプロフェッショナル制度」による人材育成にも力を注いでいくことにしている。

 

●問い合わせ先
医療健康情報認証機構(担当:岡村)
〒105-0003 東京都港区西新橋2-4-2
西新橋安田ユニオンビル2F
TEL 03-5512-7602
FAX 03-5512-7576
E-mail info@jachi-md.org
URL http://www.jachi-md.org