INNERVISION

 

 

 


当日は,会員企業などから約230名が出席した。


坂入 実 運営会議議長
((株)日立製作所)


飯野奈津子 氏
(NHK)

 

 

 

 


 



創立10周年を迎えたJAHISが,
平成16年度業務報告会を開催
──標準的電子カルテへの取り組みなどを報告

 

 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)は7月2日(金),コクヨホール(東京)において,平成16年度の業務報告会を行った。1994年4月に日本保健医療情報システム工業会として設立されたJAHISは,保険・医療・福祉の三分野における情報システムの基盤整備と標準化を推進することで,豊かな国民生活に貢献することを目的に活動を行っている。この業務報告会は,その活動実績と今後の計画を報告するための場となっており,医療情報システムの技術動向を知る上でも重要なものとなっている。今回の業務報告会では,新たに運営会議議長となった坂入 実氏((株)日立製作所)から,「創立10周年を踏まえて」と題した運営会議報告があったほか,医事コンピュータ部会,医療システム部会,保険福祉システム部会の各部会,国内・国際の各標準化特別委員会,事業推進部からの報告が行われた。
 最初の坂入議長の報告では,昨年度策定された中期計画に関しての説明があったほか,今年2月に開催された創立10周年記念シンポジウムの成果についても取り上げられた。坂入氏は,この記念シンポジウムがJAHISの活動内容を広くアピールする機会となり,産・官・学の連携推進に向けた意識づくりにつながったと述べた。また,今年度の具体的な展開として,新たに発足した標準的電子カルテ推進アドホックグループや,改正薬事法検討グループの活動も紹介した。
 標準化を推進するというJAHISでは,厚生労働省が取り組んでいる標準的電子カルテの整備にも積極的にかかわっている。今回の報告会では,医療システム部会の報告の中で,「標準的電子カルテを目指して」と題して,電子カルテシステムモデル特別プロジェクトの成松 亮氏(東芝メディカルシステムズ(株))から推進状況の説明があった。JAHISでは,厚生労働省の標準的電子カルテ推進委員会に関連した研究として,厚生労働科学特別研究事業の「標準的電子カルテシステムのアーキテクチャ(フレームワーク)に関する研究(高田 彰・熊本大学助教授)」,「電子カルテ導入における標準的な業務フローモデルに関する研究(飯田修平・(社)全日本病院協会常任理事)」に参加している。成松氏は,これらの研究成果について述べた上で,IHEの考え方を取り入れたシステム開発の方向性について述べた。
 このほか,報告会の最後には,「患者本位の医療とITへの期待」をテーマに,NHK解説委員の飯野奈津子氏による講演が行われた。この講演の中で,飯野氏は,医療制度改革のキーワードは「患者本位」と「量から質への構造改革」であると説明。患者中心の医療を実現するためにも,サービスや医療の質の向上,効率化をもたらすIT化は必要であると述べ,JAHISの今後の活動に期待を示した。
 設立から10年を迎え,次の10年に向けて新たなスタートを切ったJAHISであるが,標準的電子カルテの推進など,担う役割はいままで以上に高まってきている。今後,同会では,ベンダー間での連携を強化するほか,行政や学会などとの定期的な会合の実施,「医療情報システム入門コース」といった会員企業の社員向けの人材育成プログラムを充実させていくことにしている。

 

●問い合わせ先
保健医療福祉情報 システム工業会 事務局
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-19-9 虎ノ門TBLビル6F
TEL 03-3506-8010 FAX 03-3506-8070
URL http://www.jahis.jp