INNERVISION



約350人の参加者が訪れ,甲状腺・乳腺領域への関心の高さが うかがえた。


「VOLUSON 730」は,最新のデータ収集とデジタル画像処理技術により,高解像度のBモードイメージ,ボリュームイメージング3D,リアルタイム4Dイメージングを実現している。


「LOGIQ 7」を用いた実技講習会


「Senographe 2000D用CAD」は,読影医が通常読影と併用することで,見落としが減り,初期段階の微小ながんを迅速かつ正確に把握することができるという。


展示会場では,女性参加者を中心に,多数の来場者が装置解説を熱心に聞いていた。


GEYMS,「GE 甲状腺・乳腺
画像診断セミナー」と展示会を開催

 

 GE横河メディカルシステム(株)は赤坂プリンスホテル(東京)において3月6日(土),甲状腺および乳腺領域での臨床応用事例に関する医療機関向けの「GE 甲状腺・乳腺画像診断セミナー」と展示会を開催した。セミナーは主に,世界初の三次元動画像(四次元画像)機能を搭載したフルデジタル汎用超音波診断装置「VOLUSON(ボルソン)730」について,技術と臨床の両面からの講演と特別講演で構成。乳腺領域についてのセミナーということもあり,多数の女性関係者が来場した。
 はじめに,技術講演として橋本 浩氏(GE横河メディカルシステム(株)超音波事業部超音波研究室)が,「超音波の最新技術」について述べた。橋本氏はまず,画像改善のキーファンクションとして,超音波ビームを垂直方向だけでなく斜めに送って,同一部位から多くの情報を取得するCompound Resolution Imaging(CRI)やCross×Beamといった空間コンパウンドイメージングについて解説。コントラスト分解能を高め,血管壁などの組織構造や境界などを鮮明に描出する技術であると説明した。また,3D・4Dのためのプローブに関して,Bモードの厚み方向に厚みを持たせた画像表示であるVCI(Volume Contrast Imaging)A-PlaneおよびC-Plane技術を紹介し,不明瞭な病変部の明確化と最大径の計測に有用であるとした。このほか,直交3断面を同時に表示するMulti Planar Viewや,体積計測ソフトウエアVocal(Virtual Organ Computer-aided Analysis)についての解説も行った。
 続く,「4Dイメージングはどのような超音波診断情報を提供できるか?」をテーマとした「VOLUSON 730 EXPERT」の臨床講演では,はじめに福成信博氏(伊藤病院外科)が「甲状腺領域における臨床応用」について講演した。伊藤病院では現在,超音波装置がすべてデジタル機種に変更されたが,そのきっかけとなったのが「VOLUSON」だという。福成氏は講演のなかで,「VOLUSON 730 EXPERT」の臨床的有用性として,高いBモード空間分解能や卓越したextended view,4Dプローブによる直交3断面表示,4Dバイオプシーの4点を挙げ,その優位性を強調。一方,3D・4Dについては,甲状腺において,Bモードで見えなかったものが3Dで観察できるという利点を示したほか,甲状腺がんの気管支浸潤がUSでも描画可能であるとした。さらに,3Dイメージングの応用として,甲状腺がんのリンパ節転移などへの有用性も紹介。超音波下のインターベンションについての可能性も示した。
 次に,角田博子氏(聖路加国際病院放射線科)が「乳腺領域における臨床応用」として,「最新のGE超音波装置の使用経験」を講演した。同氏はまず,「LOGIQ 7」に関して,従来の機能に加えて搭載された新技術であるCross×Beamを用いて辺縁組織などの詳細を観察した場合,非常にシャープになっている点を評価。また,SRI(speckle noise reduction imaging)については,辺縁の組織や皮下脂肪もノイズがない点を示し,空間分解能を犠牲にすることなくスペックルノイズを減少させる点も評価した。一方,「VOLUSON 730 EXPERT」については,Bモードの画質の高さを第一に挙げた。「VOLUSON」のBモードは解像度が高く,深さ方向に均一な画像を提供。解剖学的見地からも非常に優れており,言うまでもなくカラードプラについても鮮明な画像が得られるという。また,VCI A-Plane,C-Planeについては,それぞれ従来の画像と比較し,コントラストの優位性を証明。さらにMulti Planar Viewについても言及し,病変を頭のなかで構築することが容易であるとして,乳がんを観察し続ける際には非常に有用であると述べた。
 最後の特別講演「超音波とマンモグラフィーによる乳がんの検診と診断」では,難波 清氏(医療法人ブレストピア理事長)が,乳がん検診から診断,治療への流れとしてブレストピアの現状を挙げた上で,日本には小さな専門診療所が少ないことを指摘。続けて,ブレストピアの超音波装置の紹介と乳がんについての基本的な解説を行った。また,難波氏は,欧米との比較をしつつ乳がん検診の歴史についても述た。特に米国の放射線科医と日本の比較では,米国のマンモグラフィ品質基準法(mammography quality standard act:MQSA)を例に挙げ,毎年読影件数を報告する義務や,違反者には法的な罰則が規定されているなど厳しい条件が科せられている現状を紹介。日本にはそうした厳格な規定が存在しない点を指摘した。さらに,難波氏は,マンモグラフィによる乳がん検査が死亡率を低下させると述べ,浸潤の程度と治療効果,年齢分布などを示した。その上で,視触診をなくした超音波とマンモグラフィによる検査は,精度が高まるだけでなく,人的コストも削減できると主張。また,CADを用いたコンピュータ支援診断も加えることで石灰化の見落としも減少するなど,効率化も実現できるとし,今後,乳がん画像検診は急速に普及するだろうと述べた。
 当日は,展示会場において,超音波による頸動脈の実技講習会も実施。多数の参加者が早い時間から訪れ,スタッフの機器解説に熱心に耳を傾けていた。

問い合わせ先
GE横河メディカルシステム(株)広報:松井
TEL 042-585-9249
http://www.gemedical.co.jp



橋本 浩 氏
(GE横河メディカル
システムズ(株))
福成信博 氏
(伊藤病院)
角田博子 氏
(聖路加国際病院)
難波 清 氏
(医療法人ブレストピア)