医療用3Dワークステーション「Virtual
Placeシリーズ」は,2001年に販売が開始されてから3年あまりの間で,175台の納入実績(2004年1月まで)を達成している。2月14日,「Virtual
Placeシリーズ」のユーザーが一堂に会する情報交換の場として,“バーチャルプレイステクニカルフェア2004”が六本木ヒルズ(東京・港区)において開催された(参加者105名)。また,テクニカルフェアの開会に先立ち,「Virtual
Placeシ リーズ」の発売元である株式会社オフィス・アゼモトが,社名を「株式会社AZE(アゼ)」に変更すると発表した。社名の意味は,“A
to Z for Excellence(最初のAから最後のZまで,最高のシステム,ソフトウエア,サービスを提供し,最高の信頼関係を築く)”である。
テクニカルフェアは,MDCTのモダリティメーカー4社によるスキャンテクニック講演で始まった。まず,東芝メディカルシステムズの森下泰之氏(営業本部営業技術部)が,三次元再構成原理と画像作成テクニックとして,@
3D基本技術体系/原理,A Surface,Volume Rendering/Virtual Endoscopy,B 各種撮像条件による3D画像の違いについて講演した。シーメンス旭メディテックの村田勝俊氏(メディカルソリューションマーケティング本部CTビジネスマネジメントグループ)は,0.37秒スキャンのMDCTに至る同社のCT装置の歴史を述べ,3D画像を作成するための適正な再構成パラメータについて講演した。GE横河メディカルシステムの砂坂謙一氏(CT営業部)は,可能な限りThin
Sliceで撮影することなど,より良い3D画像を作成するための基本条件を述べ,さらにCardiac撮影を成功させるポイントについて講演した。フィリップスメディカルシステムズの成田裕亮氏(CTマーケティングCTクリニカルサイエンティスト)は,同社のMDCTでの心臓のスキャンテクニックと,臨床的有用性の高い3D画像を得るための条件を講演した。
次に,石風呂実氏(広島大学医学部附属病院放射線部)が,実際にVirtual Placeを操作して3D画像を作成して会場に表示しながら,「3次元画像作成実践テクニック」を講演した。同氏は冒頭,「4列〜16列MDCTは,ワークステーションがあってこそ,その凄さがわかる。MDCTはボリュームデータで診るという認識を持つ必要がある」と述べた。そして,SDCTとMDCTの特徴,ワークステーションでできること,3D画像作成の方法,3D画像の意義などについて述べ,感性の違いにより3D画像にも違いが生じるとして,単にMDCTとワークス テーションがあれば3D画像ができるものではなく,診療放射線技師の技量によるところが大きいとした。さらに,3D画像を構築するための最低知識と応用を述べ,実際に4列のMDCTを中心とした3D画像の作成を頭頸部から整形領域まで実演した。最後に,4D画像の取り組みについて述べ,講演を終えた。
特別講演では,村上卓道氏(大阪大学大学院助教授)が,「MDCTを用いた上腹部造影検査の有用性(3D含む)とMRI検査」のテーマで講演した。同氏は,最初に画像診断の最近の変化として,入院患者に対する一部包括化の導入(DPC:特定機能病院)による医療制度の変化について述べた。次に,診断技術の進化による診断能の変化として,MDCTによるdynamic
studyに触れ,その最適なパラメータおよび造影剤の各種ファクターとエンハンスメントについて述べた。さらに,転移性肝がんを描出するためのSPIO-MRIによるsensitivityの向上ついて述べた。転移性肝腫瘍の画像診断においてMDCTとSPIO-MRIは相補的な検査であるとし,組み合わせることで腫瘍の存在,鑑別,病期診断のほか,血管解剖,機能情報までもが外来レベルで評価でき,低コストで治療方針を決定できるとした。最後に,CT画像とPET画像とのフュージョンによる診断の今後の可能性について述べ講演を終えた。
最後に行われたユーザーと同社の最高技術責任者の桝本潤氏(専務取締役)との質疑応答が注目された。質問に対する桝本氏の的確な答えと対応には,「Virtual
Placeシリーズ」がバー ジョンアップを繰り返し,納入台数を急速に伸ばしてきた理由をうかがうことができた。ユーザーの意見を的確に吸収し製品化する。まさに,ユーザー自身が作り上げたソフトウェアと 言っても過言ではないであろう。同社のこの姿勢が続く限り,「Virtual
Placeシリーズ」はユーザーに受け入れられていくと思われる。
問い合わせ先
(株)AZE(アゼ)
マーケティング部:松村
TEL 03-5209-7051 FAX 09-5209-7052
http://www.aze.co.jp
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