INNERVISION



HELICS協議会
第1回標準化推進協議会シンポジウムを開催
電子カルテ時代に向けての動向と課題を展望

 

 1月29日(木),東京・品川区のコクヨホールにおいて,第1回標準化推進協議会シンポジウム「電子カルテ時代の標準化─その推進と課題─」が開催された。主催した医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会)は,保健医療福祉情報分野の各団体間で,標準化を進めるための方針とその内容を協議することを目的に,2001年5月に設立。現在,(財)医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)など12団体が会員となっている。シンポジウムでは,標準化の現状と展望についての報告や,医療情報システム導入施設からの問題点などが提起された。
 開会に当たって協議会会長の大江和彦氏(東京大学医学部教授)は,医療情報システムのユーザーやベンダーに標準化規格の重要性と今後の課題について理解していただきたいと,シンポジウムの趣旨を述べた。また,厚生労働省医政局研究開発振興課医療技術情報推進室の関 英一室長からは,「政府としても医療情報の標準化に取り組んでおり,協議会の活動とかみ合った形で進めていきたい」との挨拶があった。
 この後,木村通男氏(浜松医科大学教授)が,「医療情報分野の標準化の動向とHELICSの役割」と題した基調講演を行った。木村氏は,標準化の目的とメリットを説明した上で,これまでの動向について報告。その上で,今後の課題として,規格の公共性と国際性,目的の明確化を挙げた。
 次いで,標準化の現状と課題についての発表が行われた。まず,HELICS協議会が「医療情報標準化指針」に採択した標準医薬品マスター(HOT番号),JAHIS臨床検査データ交換規約について,それぞれ,土屋文人氏(東京医科歯科大学歯学部附属病院薬剤部長),川真田文章氏(大塚製薬(株)部長)が規格の現状を説明。さらに,標準化規格を採用したシステムを構築した岐阜大学医学部附属病院の梅本敬夫氏(同院医療情報部副部長)と,東京都立府中病院の阿部和也氏(同院耳鼻咽喉科)から,導入時と運用面での課題が指摘された。
 シンポジウムの最後には,「標準化の推進に何が必要か,今後何を標準化することが可能か」をテーマに総合討論が行われた。司会を木村氏が務め,大江氏,土屋氏,川真田氏,梅本氏,阿部氏が参加したほか,厚生労働省医政局研究開発振興課医療技術情報推進室の高本和彦室長補佐,坂本憲広氏(神戸大学医学部教授)も出席。高本氏からは,厚生労働省が取り組んでいる標準化推進施策の紹介があった。また,坂本氏は,HL7 Version 3を採用したシステム構築を進める神戸市の臨床研究情報センターの取り組みについて発表した。
 今回は,医療情報を扱う上で,標準化規格を採用することの重要性が改めて示された場となったが,同時に,ユーザーの立場から課題が提示された。電子カルテシステムなどの医療情報システムの普及に向け,どのように標準化を推し進めていくか,官民一体となった取り組みが求められていると言えよう。

問い合わせ先
医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会)
事務局:岡峯栄子
(財団法人医療情報システム開発センター内)
〒107-0052
東京都港区赤坂2-3-4 ランディック赤坂ビル10F
TEL 03-3586-2552 FAX 03-3505-1996

 

大江和彦 氏
(東京大学)
関 英一 氏
(厚生労働省)
木村通男 氏
(浜松医科大学)

 

土屋文人 氏
(東京医科歯科大学)
川真田文章 氏
(大塚製薬)
梅本敬夫 氏
(岐阜大学)

 

阿部和也 氏
(府中病院)
高本和彦 氏
(厚生労働省)
坂本憲広 氏
(神戸大学)