医療課題の解決に取り組むヘルスケアカンパニー, GEヘルスケア・ジャパン(株)は,7月3日(火)より,読影医の負担を軽減し,読影の精度向上と効率改善に貢献する新たな統合ソリューションの提供を開始する。
本統合ソリューションは新発売のGEヘルスケア製PACS(医用画像管理システム)「Centricity PACS 4.0(セントリシティ・パックス 4.0)」,ならびに3D画像解析サーバー「AWサーバー(エーダブリュ・サーバー)」,レポーティングシステム「 Centricity i3(セントリシティ・アイキューブ)」など,同社の多岐にわたる医療用IT製品・サービスを組み合わせたもので,読影医が1日に手がける業務工程ごとに最適なソリューションを提供して,読影プロセスを総合的にサポートする。
急増する国内読影医の負担
CT(コンピューター断層撮影装置)や MRI(磁気共鳴断層撮影装置),マンモグラフィー(乳房 X線撮影装置)などの撮影画像から異常所見の有無を判断し,病気を診断する読影医。その数は国内で約5,700人と米国に比べて約5分の1,また人口100万人あたりの読影医数も平均約36人(米国に比べて約3割)と極めて少ないのが現状。しかしながら,画像撮影装置のデジタル化や高機能化に伴い,2008年度の調査当時で読影医1人当たりの平均読影件数は年間約8,200件,米国の2,700件と比較して約3倍となっている。
この流れに拍車をかけたのが2008年4月の診療報酬改定で,「CT/MR/RIの8割以上の読影結果が常勤専門医により,遅くとも撮影日の翌診療日までに主治医に報告されていること」などを満たせば,点数が加算されるようになった。そのため,読影医は数多くの画像をできるだけ素早く読むことが求められるようになり,結果として読影医1人当たりの負担は増大し続けている。
読影医の負担を軽減し,読影の精度・効率をアップに貢献する新たな統合ソリューション
急増する読影医の負担軽減に向けて,国内の数多くの読影医のニーズをもとに創り上げたのが7月3日から提供を開始する新たな統合ソリューション。1日の読影スケジュールの把握から読影画像の検索・選択・調整,3D化・計測・解析,読影後の画像共有まで,読影医が朝から晩までに手がける業務を16工程に分解し,各工程で読影医が抱える課題を精査。柔軟性の高い画面表示や直感的な操作で読影をサポートする新発売のCentricity PACS 4.0を軸に,ネットワーク経由で高機能な解析ソフトを容易に活用可能な3D画像解析サーバー,ならびに検査情報からレポート作成・管理までをスムーズに連携するレポーティングシステムなどを組み合わせて,それぞれの工程で最適なソリューションを提供する。
同社の幅広いラインアップを組み合わせた統合ソリューションの導入で,読影医の負担を軽減し,読影の精度・効率をアップさせることで,より確かな診断や検査から結果報告までの待ち時間短縮など,患者さんのメリットにもつながると期待されている。
●新統合ソリューションの主な特長
1. 読影医の使用頻度が高い解析ソフトを搭載し,診断精度と効率を大幅にアップ
●抗がん剤治療の効果判定に寄与する「OncoQuant」
病変部の経時的な変化をより簡単に計測できるのが OncoQuant(オンコクアント)。例えば,抗がん剤治療の効果判定基準の1つである RECIST(レシスト)では,複数の腫瘍の最長径とその変化率を測定する必要があるが,OncoQuantを用いると,自動で輪郭を抽出させた対象をクリックするだけで複数病変の最長径を自動検出し合計値と変化率を自動算出。読影負担を大幅に軽減する。
●低侵襲の大腸検査法「CTコロノグラフィー」に役立つ「Colon VCAR EC」
CT画像を用いて大腸がんなどを検出する低侵襲の大腸検査法であるCTコロノグラフィーを支援するのが「Colon VCAR EC(コロン・ブイシーエーアール・イーシー)」。自動で大腸のみを抽出し,二重造影像と類似した腸管の3D画像や仮想内視鏡画像などを表示できるほか,経口造影剤で高濃度にした残渣・残液をワンクリックで腸管と分離できる。また指定サイズ以上の球状のオブジェクトを自動的に色づけして注意を促す機能も搭載し,読影を高度にサポートする。
●形態画像と機能画像を重ね合わせて比較参照できる「Integrated Registration」
CTや MRIで撮影した形態画像に,PET(陽電子放射断層撮影装置)やSPECT(単光子放射断層撮影装置),X線アンギオ装置などの機能画像を重ね合わせて比較参照できるのが「Integrated Registration(インテグレイティド・レジストレーション)」。2D画像と3D画像の重ね合わせも可能なため,読影・解析精度向上に貢献する。
2. 大量の画像を最小限の労力で的確に操作できる「シリーズナビゲーター」
過去の撮影画像との比較読影を支援するのが「シリーズナビゲーター」。従来は過去の画像を検索・選択して希望のレイアウトに配置するには,数多くの操作やマウスの移動を伴ったが,新機能の「シリーズナビゲーター」では最少のステップ,かつ最短のマウス動線での画像操作を実現する。
3. 院内外で,いつでもどこでも見たい情報にアクセスできる「Centricity CDS」とモバイル PACS「CRMA」
作成されたレポートや画像データは,「Centricity CDS(セントリシティ CDS)」で一元管理することで,院内のあらゆる診療科・部門間で簡単に共有し,すばやく閲覧できる。また,スマートフォンやタブレット端末上でPACSの機能をいつでもどこでも利用可能な「CRMA(シーアールエムエー)」を活用することで,学会など外出先や移動中に緊急の読影案件が発生した場合も,その場で読影できる。
同社は現在,高機能PACS「Centricity」シリーズのほか,読影ワークステーション「Centricity RA1000」,レポーティングシステム「Centricity i3」などの読影ソリューション,統合参照ソリューションである「Centricity CDS」,循環器向けの統合管理支援ソリューションの「Centricity Xi2」など,多彩な医療用ITソリューションを大学病院などの大規模病院から中・小規模病院まで幅広い医療機関に導入しており,大規模施設では約15%のシェアを有している(同社調査)。
また今年3月には,クラウドコンピューティングを活用した医療用画像のデータホスティング・サービス「医知の蔵(いちのくら)」(http://www.ichino-kura.jp)の本格運用を開始,4月には国内で初めて薬事認証を取得したモバイルPACS「CRMA」を導入するなど,診断・治療の質の向上,ならびに画像データのセキュリティ強化や病院経営の効率化につながる医療IT製品・サービスを相次いで市場投入している。
同社は新発売する「Centricity PACS 4.0」を含めた新たな統合ソリューションを,すでにCentricityシリーズを導入している医療機関のアップグレード,ならびに放射線科を有する中・大規模病院の新規購入を主対象に販売する。また,医療機関のニーズに細やかに対応できる多彩な医療ITソリューションの導入を通じて,日本が今後直面する超高齢社会に不可欠な在宅医療や地域医療連携,遠隔医療などをサポートし,「人にやさしい,社会にやさしい」医療の実現に貢献することを目指す。
GEヘルスケア・ジャパン(株)が提供を開始する新たな統合ソリューション
〜読影医の業務を16工程に分解し,各プロセスで読影医に最適なサポートを提供〜
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