日本PACS研究会は7月1日をもって研究会の名称も活動実態に合わせて日本PACS・PHDS研究会と変更した。これを機会に健診システムの施設内および施設間,相互運用性の為の実装規約作成をめざしてIHMS委員会(統合デジタル健康管理システム委員会)を立ち上げる。従来からあったePHDS委員会(個人健康情報連携システム委員会)も継続して活動を続けていく。
日本PACS・PHDS研究会は日本PACS研究会として,1983年に第1回会合後,その翌年に,PACS and PHD 国際シンポジュームを開催して,海外との交流をはかり,PACSとPHDの開発,普及を推進してきた。それと並行して,心電波形等のデジタル化等,画像以外の医療情報のデジタル化にも寄与してきた。
また,(財)医療情報開発センターと共同でIS&C委員会を発足させ,医療画像や電子カルテ等医療情報の電子保存通知の基礎づくりやICカード,ネットワークセキュリティ技術の普及を行ってきた。
2005年にはIS&C委員会をePHDS 委員会("enhanced Personal Health Document Sharing system committee":「個人健康情報連携システム委員会」)と改め,施設を越えた医療情報の連携や個人の生涯にわたる医療情報の共有のあり方について,わが国における望ましい標準の姿について検討を進めていくこととした。成果として地域医療連携システムのIHE統合プロファイルであるXDSの普及の為のハンドブックの作成を行い,その普及活動を行ってきた。
今般,これまでの知見を生かして,健診関係の方々の参加を得て健診システムの施設内および施設間,将来的には海外システムとの相互運用性の為の実装規約をまとめるIHMS委員会("Integrating Digital Health Management System Committee":「統合デジタル健康管理システム委員会」)を立ち上げることになった。
これを機に7月1日より会の名称も活動内容にそった「日本PACS・PHDS研究会」とし,新規会員を募集する。なお,IHMS委員会,ePHDS 委員会および各WGへの参加は「日本PACS・PHDS研究会」への入会が前提となる。
●日本PACS・PHDS研究会の目的・組織図・各委員会について
研究会の目的
日本PACS・PHDS研究会(Japan Society of PACS & PHDS 略称:JPACS)
本研究会は,個人の健康に関する文字,波形,画像データなどを活用するための情報システムについて,その標準化の研究と普及推進を目的としている。
研究会の組織図
各委員会の概略
■ePHDS委員会 ("enhanced Personal Health Document Sharing system committee":「個人健康情報連携システム委員会」 )
医療機関間の個人健康情報の統合を主なテーマに標準化問題を検討する。標準化にはワークフロー面,コンテンツ面,インフラ面とあるが,主にインフラ面,コンテンツ面を中心に進める。従来から進めてきたセキュリティインフラに関わるテーマ,多機能ICチップによるセキュリティ基盤の確保,電子保存,心電波形の取り扱い,などに加えて,施設を越えた医療情報(画像情報を含む医療情報全般)の連携,すなわち人の一生涯にわたる医療情報の共有のあり方について,先行するIHEのITインフラ統合プロファイルを参考にしつつ,わが国における望ましい標準の姿について検討を進めていく。
従来のIS&C活動の特長である,技術指向(標準関わる技術問題の解決),一ベンダではできないテーマの検討,行政への働きかけ,セキュリティ基盤に関わる運用と技術の整合性の検討,工業会では扱っていないテーマや工業会横断的なテーマの検討,新規テーマの自由な提案,異なった分野のベンダの参加による検討,有識者の協力,などの点は引き続き維持していく。
■IHMS委員会("Integrating Digital Health Management System Committee":「統合デジタル健康管理システム委員会」)
健診関連施設内及び海外を含めた施設間の健康管理情報のデジタル化による統合を主なテーマに標準化問題を検討する。先行するIHEの統合プロファイル作成手法やすでに作成された統合プロファイルを参考にしつつ,わが国における健康管理システムの望ましい標準の姿について検討を進めていく
従来の本研究会の特長である,技術指向(標準関わる技術問題の解決),ベンダの組織,健診機関の組織,産業医のそれぞれの組織内だけでは解決できない横断的なテーマの検討,行政への働きかけ,セキュリティ基盤に関わる運用と技術の整合性の検討,異なった分野のベンダ等の参加による検討,有識者の協力を生かして行う。具体的には以下のような健診分野の目標を目指して活動する。
・マルチメデイア化・マルチベンダ化への対応の効率的推進
・撮影手順,読影手順や読影結果等の標準化
・診断精度と診断効率の飛躍的向上への寄与
・海外を含めた職域をまたぐ経年的な連携
・健診機関内および機関間システムおよびデータの相互運用性の高度化
・産業保健と地域健診/健康管理・地域医療を含む連携
・どこでもMY病院やシームレスな地域連携医療構想との整合性
・産業保健の国際化への標準化対応
・健診IHE統合プロファイルの世界への提案
・画像ばかりでなく心電図等の波形データ,臨床検査データ,健診結果報告書等の相互運用性を対象
■SG委員会("Study Group":スタディグループ委員会)
医療分野の情報化の現状調査おもに参考となる施設の見学や最新医療情報分野の勉強会を行う。
●統合デジタル健康管理システム委員会(IHMS委員会)設立について
委員会設立の目的
健診関連施設内及び海外を含めた施設間の健康管理情報のデジタル化による統合の為の標準化指針の作成
背景
近年の健診車のX線撮影装置をはじめとする健診用機器のデジタル化により,画像情報を含む健康管理情報を活用し,経年的且つ健診機関をまたぐ健康管理の実現の機が熟している。
健診機関内でのパッケージ化率の不十分な健診基幹システムと,健診システム 内の医用画像機器を含む各種のデジタル医療機器との接続は,必然的にマルチベンダ化を招来し,標準化への努力を怠る場合には,ベンダ間の調整を,経験の少ない健診機関の担当者が仕切らざるを得ないという,開発作業上の大きなリスクを伴い,さらに,医療機器や 情報システムの更新の都度,この作業が付きまとう。
それを利用する健康保険組合等や産業医は,特に,健診機関をまたぎ,年をまたぐ場合にはバラバラな個人健康情報を扱うことになり,統合された健康管理を行なえず,デジタル化のメリットを生かすことが出来なくなる。
期待される効果
施設内は各部分ベンダシステムを相互に利用することが出来,健診機関の運用の自由度が高まり,仕様確認時間が削減,ベンダも得意分野のシステムに集中することが可能。
海外を含めた施設間の相互運用性が可能になると時間的,空間的に統合された迅速な健康理が可能となる。紙ベースと比して健康管理の質の向上と処置の迅速化が期待できる。
方法
IHEの統合プロファイル作成手法やすでに作成された統合プロファイルを参考にしつつ,わが国における健康管理システムの望ましい標準の姿について指針を作成
ベンダの組織,健診機関の組織,産業医のそれぞれの組織内だけでは解決できない横断的なテーマに関して指針を作成
当面の作業
健診用PDI統合プロファイル
健診ID管理統合プロファイル
健診画像一貫性管理統合プロファイル |