日本アキュレイ(株)は,医療法人社団 東京石心会 新緑脳神経外科における放射線治療機器「サイバーナイフ ラジオサージェリーシステム」 の導入が完了し,治療を開始した。
新緑脳神経外科は,脳神経外科専門の医療機関として,転移性脳腫瘍,脳動静脈奇形など,脳神経領域での豊富な治療実績によって日本におけるサイバーナイフ治療の中心的役割を果たしてきた。脳転移症例では肺がんを原発とする症例が多い為,2011年2月より,大学病院の協力を得て放射線腫瘍医による肺がん治療を開始しているが,今回の第4世代機種の導入により,肝臓がんなどの体幹部治療の可能性も広がる。
尚,同病院の第4世代機種による治療は,5月8日より開始されており,順調に治療が進んでいる。
今回の新機種導入の目的について,横田尚樹院長は「私たちは,脳外科専門病院として,脳腫瘍の放射線治療を行ってきました。放射線治療は入院治療が原則不要で,中でも治療期間が短いサイバーナイフシステムは,働く世代の患者さんに治療面だけでなく大きなメリットがあると思います。肺癌は脳転移することが多く,原発部位である肺の治療を行うことで患者さんを救いたいと考え,大学病院・放射線腫瘍医の協力を得て,前世代のサイバーナイフシステムで治療を開始していました。第4世代機種の導入で体幹部治療の環境を整え,より良い治療の提供を行いたいと考えています」と語っている。
サイバーナイフシステムは,頭蓋内・頭頸部に加え,前立腺・膵臓の腫瘍など体幹部病変に対する低侵襲な治療法として,体幹部定位放射線治療(Stereotactic Body Radiation Therapy:SBRT)を患者さんに提供する。また,サイバーナイフシステムは,照射ターゲットを高精度で捉え,有効線量を照射することが可能で,重要臓器や正常組織に隣接した腫瘍の治療も可能にする。
更に,呼吸に伴う肺腫瘍の移動など,予測の難しい腫瘍の動きをリアルタイムで追尾するだけでなく,照射角度を自動修正する機能を備えている。これにより,正常組織への照射を最小限に抑えることができ,患者さんは放射線治療に伴う典型的な副作用の多くを回避することができる。
●新緑脳神経外科 横浜サイバーナイフセンターについて
新緑脳神経外科は,医療財団法人石心会の医療施設の1つ。脳神経外科,放射線治療科,循環器内科,整形外科などで構成され,予防から診断,治療,リハビリテーションを行っている。2005年のサイバーナイフシステムによる治療の開始以来,約4,000症例(2012年1月現在)の治療を行ない,世界的にもトップレベルの累積治療件数を誇る。
●第4世代サイバーナイフシステムについて
2010年7月に薬事承認を受け,同年10月より販売を開始。販売名「サイバーナイフ ラジオサージェリーシステム」。線量率を前世代の2倍とし,コリメータの自動変換機能の新規搭載や治療計画装置における新しいアルゴリズムの採用など,体幹部治療に適した仕様となっている。 |