日本アキュレイ(株)は,がん・感染症センター都立駒込病院における放射線治療機器「サイバーナイフ ラジオサージェリーシステム」の設置が完了したことを発表した。
日本における先進的ながん治療の拠点病院として広く知られている都立駒込病院に,頭蓋内を含む頭頸部および体幹部の腫瘍に対する低侵襲な放射線治療を行う機器が導入されたことになる。これにより,日本におけるサイバーナイフシステム設置台数は24台となり,世界でも米国に次ぐ第2位の設置規模となる。都立駒込病院での治療開始は2月末を予定している。
都立駒込病院放射線診療科(治療部門)部長唐澤克之医師は,今回の設置に際し「私たちは,がん治療において最高水準の治療技術を患者さんに提供すべく尽力しています。体幹部を含む幅広い部位に対応できるフレキシブルな定位放射線治療システムの導入は,当院の機能を充実させ,患者さんにとっても貴重な新しい治療オプションとなると判断しました。サイバーナイフシステムは,良好な臨床研究結果という基盤と品質に対する世界的な高い評価もあり,迷うことのない選択でした。この技術が当院における低侵襲ながん治療,特に,従来は健康な組織への負担なしには放射線治療が難しいとされてきた肺腫瘍に対し,大きな役割を果たすと期待しています。私たちは,2月末の治療開始に向けて準備を進めています。」と,語っている。
サイバーナイフシステムは,頭蓋内・頭頸部に加え,前立腺・膵臓の腫瘍など体幹部病変に対する低侵襲な治療法として,体幹部定位放射線治療(Stereotactic Body Radiation Therapy:SBRT)を患者さんに提供する。また,サイバーナイフシステムは,照射ターゲットを高精度で捉え,有効線量を照射することが可能で,重要臓器や正常組織に隣接した腫瘍の治療も可能にする。
更に,呼吸に伴う肺腫瘍の移動など,予測の難しい腫瘍の動きをリアルタイムで追尾するだけでなく,照射角度を自動修正する機能を備えている。これにより,正常組織への照射を最小限に抑えることができ,患者さんは放射線治療に伴う典型的な副作用の多くを回避することができる。
米国アキュレイ社の社長兼CEO であるEuan S. Thomson博士は,「日本は,これまでも先進的な医療技術を早期に導入してきた実績があります。日本でサイバーナイフシステムが体幹部治療にも適応拡大された2008年以降,当社の技術に対する関心の高まりが見られました。アキュレイ社が全世界におけるプレゼンスを高め,サイバーナイフシステムが持つ独自かつ一人ひとりに合った治療のメリットを世界中の患者さんにお届けしていく中で,今回,日本の中心的ながん拠点病院である都立駒込病院に当機器が設置されたことは,アキュレイ社にとって重要なマイルストーンとなります。」と,述べている。
がん・感染症センター都立駒込病院について
都立駒込病院は1879 年に設立され,1975 年にがんおよび感染症の患者さんの治療を開始。今日,同センターの規模は800 床以上,年間35 万人の外来患者を受け入れており,国際対がん連合(Union for International Cancer Control:UICC)の正会員となっている。 |