がん治療の放射線治療装置とソフトウエアの世界的リーダーであるバリアン・メディカル・システムズ(Varian Medical Systems)は,バリアンのがん治療システムを使用している放射線腫瘍専門医,医学物理士,放射線技師を研修する初の研修センターを東京に設立した。さらに,日本にいるバリアンの顧客に電話サポートを提供するクリニカルヘルプデスクを設立した。
これらのサービスは利便性の高い東京都内にある新事務所で展開する。研修センターは放射線腫瘍学の臨床専門家向けコースを2012年2月に開始する。クラスルームには20台のワークステーションと最先端のオーディオ/ビジュアル装置,2つの顧客休憩室を備えている。
バリアンの山田眞・日本セールスマネジャーは,日本放射線腫瘍学会(JASTRO)が発表した統計を引用して,「放射線治療はがんの効率的な治療法として広く認められている。日本で放射線療法の治療を受けるがん患者の数は1990年代の年間約10万人から現在では約25万人へと過去10年間で倍増している。JASTROは放射線治療サービスを必要とする日本人の数は2015年までに36万人に増えると予測しているが,日本では訓練を受けた臨床専門家が不足している。新しい研修センターはこの分野での研修の必要性拡大に一助となるようバリアンのコミットを示すものである」と語っている。
放射線腫瘍学の分野はこの10年で進化しており,現在は医師が精密に腫瘍に狙いを定め,その一方で,周辺の健康な組織への照射を最小限に抑えることができる,複雑な技術を使いこなす技能が必要になっている。山田セールスマネジャーは「バリアンの研修センターにおいて,臨床医がバリアンの技術を使用し,強度変調放射線治療,画像誘導放射線治療,定位放射線治療のような先進治療を行う技能を身につけることができる。新しいヘルプデスクではバリアン社装置の技術に関して電話や電子メールでサポートを提供することができる」と述べている。
バリアンのジョン・ホロン・ワールドワイドトレーニングアンドエデュケーションディレクターはこれに加えて「専門のヘルプデスク・サービスが加わることで,バリアンの方針である日本の臨床腫瘍コミュニティーへのサポート拡大に貢献することができる。またこれまでの顧客対応では,アプリケーションスペシャリストからの折り返しの電話を待たなければならないこともあったが,いまでは営業時間中であれば,熟練した専門チームに連絡を取ることができる」と語っている。
バリアンの新事務所は東京都中央区日本橋兜町5-1にある。研修センターで予定されている最初のクラスは2月に始まり,バリアンのEclipse(商標)治療計画ソフトウエアに重点を置いている。追加コースは3月,4月,5月に予定されており,Eclipse操作にがん治療管理のARIA(登録商標)放射線治療マネージメントシステムが加わる。
ホロン氏は「将来,当社は日本の臨床パートナーと協力して品質保証手順,安全性,最新臨床形態のコースを開発する。放射線療法の利用は日本では増加しており,当社の目標は各地域において国際的レベルの教育,顧客サポートを提供することである。東京の新研修センターでは日本の臨床医の特定のニーズに合わせたサービスを提供し,国内で研修を受けられるようになる。」と述べている。
東京の研修センターはバリアンが世界各国に設立している研修センターの中では,ラスベガス(米国),北京(中国),ツーク(スイス),ビュク(フランス),ムンバイ(インド)に続き6番目となる。 |