シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス(株)は,尿分析装置のハイエンド機種の尿化学分析装置「クリニテック ノーバス」を発売した。
「クリニテック ノーバス」は,現在販売中の「クリニテック アトラスXL」の後継機種。1956年,世界初の尿試験紙の発売以来,日本を含む世界で最も多く使用されてきたエームス尿検査試験紙が,クリニテックシリーズ初の使いやすいカセットタイプに改良された。加えて,ピーク時の病院検査室業務も確実にサポートするため,業務の効率化,ワークロードの軽減,さらなるデータの信頼性の向上をコンセプトとして,開発された。また,今まで小型機種のみで測定可能であった糖尿病性腎症のスクリーニングや管理に有効な尿中アルブミンも測定できるようになった。今後,尿中アルブミンは,糖尿病性腎症だけでなく,高血圧や慢性腎臓病(CKD),さらには心疾患のリスク管理に有効になると期待されている。
●「クリニテック ノーバス」の特徴
カセットタイプの試薬を採用し,使いやすさを追求
・ 簡単に素早く試験紙の補充が可能
・ 1度に450検体分の試薬を搭載
・ 試験紙に手を触れることのない簡単な廃棄
糖尿病性腎症のスクリーニングや管理に有効なアルブミンが測定できる。
さらに,業務の効率化とデータの信頼性を追求し,以下の改良を行った。
・ 試薬カセットのRFIDタグから試薬タイプ,ロット番号,使用期限を自動認識
・ 検体処理能力が最大240検体/時間へ向上
・ スタートボタンを押すとすぐに測定開始が可能
・ 測定者の体格に合わせて傾きを変えられる日本語カラータッチスクリーンを採用
・ 内蔵のカラーデジタルカメラで試験紙の画像を記録。反応した試験紙の反射光度を分析するため,データの信頼性が向上
● 尿中アルブミン測定の意義
年々増加の一途をたどる透析患者数は,2010年12月末においてほぼ30万人までに達した。その透析療法導入原疾患の40%以上を占めるのが糖尿病性腎症。 糖尿病性腎症は,慢性の高血糖状態が持続することにより引き起こされる細小血管障害のひとつで,臨床的には蛋白尿(初期には微量アルブミン尿),腎機能障害,高血圧,浮腫などを呈し,最終的に腎不全に至る。また,糖尿病患者の透析療法導入後の生命予後は不良であり,5年後の生存率が約50%との報告がある。しかしながら,糖尿病性腎症は早期発見・早期治療で進行を阻止することができる。その早期発見の腎マーカーとして認められているのが尿中アルブミン。尿中アルブミン測定による早期腎症の的確な判断と適切な治療は患者様のQOL向上につながるのみでなく,約1兆4000億円の透析医療費の削減にもつながる。さらに尿中アルブミンは心血管疾患死のリスク因子であることが示され,高血圧,脳卒中,心疾患などの進展を示す指標としても注目されている。 |