GEヘルスケアグループ(以下「GEヘルスケア」)の世界中核拠点の1つであるGEヘルスケア・ジャパン(株)が販売するポケットサイズの超音波診断装置「Vscan(ヴィースキャン)」が,本年度のグッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)に選出された。同社製品で金賞を受賞したのはこのVscanが初めてとなる。
ホイール・ダイヤルキーの採用で,片手でプローブ走査,もう片方の親指で画像操作が可能
Vscanは,米ゼネラル・エレクトリック(GE)の医療に関するビジネス戦略「ヘルシーマジネーション(healthymagination)」の厳しい認証審査をクリアし,昨年10月1日に国内販売を開始した同社最小・最軽量の超音波診断装置。どこへでも持ち運べる手軽さと片手で扱える操作性に加え,在宅や僻地など多彩な医療ニーズに応える臨床性能を兼ね揃えた装置である。
デザイン面では,重さ約390gと小型で軽量,プローブ(探触子)にも軽量化を施したほか,本体に接続するケーブルも薄型で柔軟性の高いものを採用した。バッテリー駆動による可搬性に加えて,ディスプレイの開閉による素早いオン・オフやダイヤルキーの採用など片手で扱えるシンプルな操作性を実現するなど,使い勝手にもこだわった。加えて先端的な技術を用いた半導体チップの採用で,高性能ながら低消費電力も実現している。
●審査委員の評価
本超小型の超音波診断機は通常の医療の場面だけでなく,災害時など緊急時の医療現場などで役立つことが大いに期待される。本商品デザインは医療関係者,生活者双方の新たな社会的,人間的価値を創出した点で評価された。さらにその価値を社内外に認知・確立し,開発のための資源・人材を確保することに困難さがあったことは,新たな価値を創出する際の開発プロセスと決断が今日いかに重要かを示唆しており,この点も評価された。
金賞受賞に際し,当社代表取締役社長兼CEOの川上潤氏は,「Vscanがこのたび当社初となる金賞を受賞したことを大変嬉しく光栄に感じております。審査委員の皆様から『医療関係者,生活者双方の新たな社会的,人間的価値を創出した』とのご評価をいただきましたが,検査室での使用という従来の医療機器の概念を覆す斬新なデザインのVscanはまさにこれまでの医療の提供のされ方を変革し,これからの超高齢社会でますます重要性が増す『プライマリケア』分野を中心に新たな価値をもたらすことのできる製品だと自負しております。当社は今後もエジソンの時代から続いてきた想像力のDNAをさらに磨き上げ,機能とデザインを高い次元で融合させた幅広い医療ソリューションを開発することで,世界の困難な医療課題の解決を目指す『ヘルシーマジネーション』の推進を図ってまいります」とコメントしている。
外資系画像診断装置メーカーとして唯一,日本に開発・製造拠点を有する同社は近年,今まで以上に高い機能性・操作性と優れたデザインを融合した製品展開に力を入れている。本年は金賞を受賞したVscanに加えて,汎用超音波診断装置「LOGIQ S8(ロジック・エスエイト)」もグッドデザイン賞を受賞したほか,これまでにもCT(コンピューター断層撮影装置)「Optima CT660 Pro(オプティマ・シーティー660・プロ)」と可搬型解析機能付心電計「MAC800(マック800)」が2010年度,汎用超音波診断装置「LOGIQ E9(ロジック・イーナイン)」と「LOGIQ P6(ロジック・ピーシックス)」が2008年度,MRI(磁気共鳴断層撮影装置)「Signa HDe(シグナ・エイチディーイー)」とCT「BrightSpeed(ブライトスピード)」が2006年度のグッドデザイン賞を受賞するなど,デザイン面でも高い評価を獲得している。 |