GEヘルスケアグループの世界中核拠点の1つであるGEヘルスケア・ジャパン(株)は,同社の汎用超音波診断装置「LOGIQ(ロジック)」ブランドの中上位モデル「S(エス)」シリーズの最新機種「LOGIQ S8(ロジック エス エイト)」を,中規模医療機関や超音波センターをはじめとする全国の臨床施設を主対象に本格発売する。
LOGIQ S8は,米ゼネラル・エレクトリック(GE)の医療に関する世界戦略「ヘルシーマジネーション(healthymagination)」の重点分野の1つである「地域に適した技術開発」の一環として,日本人の身体的特徴にあわせて画像の最適化を施した国内開発モデル。日本の状況,ニーズを吸い上げた日本の開発陣による製品化で,世界に先駆けての販売開始となった。幅広い臨床用途に対応する機能性を有しながら,さらなる小型軽量化と優れた経済性を融合した装置である。
LOGIQ S8は中上位機種ながら,GEヘルスケアの汎用超音波診断装置の最上位機種Eシリーズが誇る,腹部や心臓をはじめ,乳腺や血管から,リウマチ・整形領域までの幅広い臨床領域に対応する豊富なアプリケーションと計測機能を搭載した統合モデル。なかでも肝疾患診断向けの機能を充実させているのが大きな特長。
その1つめが,肝疾患の診断や治療効果判定の精度を高める超音波造影検査のワンタッチ化。2007年1月の超音波用造影剤「Sonazoid(ソナゾイド)」の発売以降,詳細な血流情報が得られる超音波による造影検査は普及の一途を辿っているが,超音波の出力調整など条件設定が煩雑な点がこれまでの課題となっていた。LOGIQ S8では超音波の出力を自動調整できる機能を搭載することでこの課題を克服,専用のSonazoidボタンを押すだけで,各疾患に最適な超音波造影画像の描出が可能となる。
2つめの機能が,CTやMRなどの画像診断装置で撮影した画像と,超音波のイメージを同一画面に表示し,リアルタイムな比較を可能にする「Volume Navigation(ボリューム・ナビゲーション)」。体内の構造物の形状や病変の位置を正確に描出するCTやMRI等の画像診断装置の位置や診断情報と,超音波の高分解能イメージの重ね合わせを可能にすることで,初期段階での微小な肝臓結節の診断・治療に貢献する。
この自動調整機能とVolume Navigationを同時搭載することで,肝臓検査における病変部の位置や状態などの診断精度や効率性のさらなる向上が期待されている。
Volume Navigationによる肝臓イメージ
LOGIQ S8(左)の超音波画像とCT(右)画像を同時に表示
LOGIQ S8は620mm(幅)X 856mm(奥行き)X 1,150〜1,750mm(高さ)とコンパクトなボディを実現し,なかでも心臓部に当たるメインキャビネットは同社従来機(LOGIQ 7)に比べて約8割小型化されているほか,重量も85キロとLOGIQ 7に比べて65%の軽量化が図られている。小型・軽量ボディのため患者に与える圧迫感も少なく,かつ院内での移動も容易なため,今まで設置スペースや取り回しの問題で大型装置を導入できなかった医療施設にも設置可能。また,消費電力もLOGIQ 7に比べて25%少なく,医療機関のコスト削減に貢献するほか,環境性能の充実が図られている。
またLOGIQ S8は,下肢から胸腹部までの検査部位に応じて590mm〜990mmの範囲でキーボードの高さを変更可能なエルゴノミクスデザインを採用。昨今増加傾向にある深部静脈血栓症(DVT:エコノミークラス症候群)などの有無を調べる下肢血管の検査時にも中腰での操作を可能にし,検査時に感じる身体的負担の7割近くに上る(同社調査)腰痛軽減に貢献する。 |