東芝メディカルシステムズ(株)は,災害時および停電時における画像診断検査の継続を目指し,既設のX線CT装置向けに停電時救急撮影プロトコルを開発した。
対象のX線CT装置は,同社最高級機種であるAquilion ONE™(アクイリオンワン)で,その高速撮影性能を生かし,救急検査に特化した節電型救急撮影プロトコルを開発した。既設のAquilion ONE™にこの撮影プロトコルを組み込むことで,装置の改造無しに,かつ造影シーケンスなどの検査手順等を変えることなく,消費電力を通常検査時の最大50%削減,最大消費電力を30kVA程度まで抑制しながら,救急検査を継続することが可能になる。
先日,財団法人医療機器センター附属医療機器産業研究所より発表された,東日本大震災に伴う計画停電の病院施設への影響に関する報告書にあるように,停電時に画像診断装置を稼動させるニーズは非常に高いものがある。しかし従来,X線CT装置は消費電力の最大定格および電力変動が大きいため,停電時に非常用電源に接続して使用することは困難と,一般に考えられてきた。今回,臓器を一回転で撮影できる上記機種の高速撮影性能を生かし,検査種類を救急用に限定し,かつ撮影条件を調整して最大消費電力を抑えることで,非常用電源への接続が従来より容易になった。 |