三菱重工業は,がん・感染症センター都立駒込病院向け 放射線治療装置MHI−TM2000を受注した。呼吸などにより揺れ動くがん病巣をリアルタイムに追尾し,狙った病巣のみをピンポイントで連続照射できる追尾照射機能を搭載した装置で,これにより,MHI−TM2000の累積受注台数は11台となる。納期は今秋を予定。
がん・感染症センター都立駒込病院は,がんと感染症の診療を重点に掲げる代表的な医療機関。現在,病院運営を継続しながら,老朽化した施設・設備を改修,最先端の機能を有する病院に整備するため,三菱商事などが出資する(株)駒込SPC(特別目的会社)を設立して病院PFI(民間資金活用の社会資本整備)事業を進めている。今回のMHI−TM2000の導入もその一環で,駒込SPCを通じて受注した。この装置による治療開始は2012年の予定。
がん放射線治療では,体内のがん病巣へ正確に放射線を当て,周辺の正常細胞への影響をいかに最小化するかを追求してきた。病巣に正確に照射するためには,位置合わせに多大な時間と労力が必要で,より効率よく照射できる機能の開発が求められていた。 MHI−TM2000は,このような要請に応えた装置で,世界最高レベルの精度の正確な放射線照射を可能として,正常組織への副作用を極力回避するだけでなく,患者・医療スタッフ双方の負担を大きく軽減する。
同社は2008年1月にMHI−TM2000の薬事承認を取得したことで医療機器分野へ本格参入,2010年5月には,追尾照射機能付きMHI−TM2000の製造販売承認を取得して,国内外で営業活動を展開している。これまでに国内で6台,海外で4台の受注実績を持つが,首都圏での受注は今回が初めてとなる。 |