GEヘルスケアグループの世界中核拠点の1つであるGEヘルスケア・ジャパン(株)は5月25日(水),ベッドサイドモニタの新製品「CARESCAPE™ ベッドサイドモニタB650(ケアスケープ・ベッドサイドモニタ・ビーロクゴーゼロ)」(以下B650)を,大学病院や地域基幹病院などの大・中規模病院の集中治療室(ICU)や新生児用集中治療室(NICU),心疾患集中治療室(CCU),手術室を主対象に発売する。
B650の最大の特長は,循環器分野で定評のあるマルケットと手術室で高い評価を獲得しているデーテックスオメダの両ブランドが培ってきたプラットフォームを融合し,ICU/NICU/CCUなどの循環器領域と手術室の双方において質の高い医療支援を可能にした点である。
生体情報モニタは従来,手術室やICU,病棟など使用する医療現場ごとに専用装置が開発されてきた。これはそれぞれの医療現場で求められる機能に重なり合う要素が少ないためで,これまで1台で複数の領域にわたって質の高い医療支援を施せる装置はほとんど なかった。同社もこれまで,ICUやNICU,CCUなどの循環器領域向けに「マルケット」モニタ,手術室向けには「デーテックスオメダ」モニタと2ブランド体制を敷いてきた。医療機関にとっては,常に最適な専用装置で診断できるという利点があるが,臨床現場ごとに異なるモニタを使用することで診療時の効率性低下につながる場合もあるほか,複数台数を導入することで経済的な負担も増していた。
そのような中,B650はこれまで培ってきた両ブランドの強みを新たなプラットフォームに組み込むことでこの課題を克服,同モニタ1台で循環器領域と手術室の双方において患者の情報を正確に収集・整理し,医師の的確な診断・治療を最大限に支援する。
GEヘルスケアでは現在,臨床情報の入手から記録管理,配信までの一連の流れを総合的に管理し,病院やケア・プロバイダーに対し質の高い診断支援を提供する「CARESCAPE(ケアスケープ)ソリューション」を展開している。医療スタッフと,ベッドサイドモニタや各部門の専用モニタ,無線システムなどのITインフラを結び付けることで,あらゆる臨床情報を集約し,それらを最適なタイミングで最適な場所に配信。臨床情報の新たなランドスケープ(環境)を形成することで,医療従事者の診断精度を高め,患者の早期回復・早期退院を手助けすることを目指す。
年間約250億円の規模を有する国内の生体情報モニタ市場において,これまでマルケットとデーテックスオメダのブランドで高性能装置を幅広く展開してきた同社は,現在両ブランドで定評ある循環器領域と手術室において高いシェアを有している。同社では先のCARESCAPEソリューションにもとづき,2ブランド体制で展開してきた生体情報モニタならびに関連製品を今後すべてCARESCAPEブランドに統一し,一段と質の高い臨床支援を包括的に提供していく。
今回発売するB650はこのCARESCAPEブランドで発売するベッドサイドモニタの第1弾となる。
同社では今回発売するB650を,大学病院や地域基幹病院などの大・中規模病院の集中治療室(ICU)や新生児用集中治療室(NICU),心疾患集中治療室(CCU),手術室の買い替え需要を主対象に積極的に販売するとともに,従来装置も含めた全ラインアップのさらなる拡販とシェアアップを図り,国内の生体情報モニタ市場におけるトップの地位を狙う。
また現在,GEヘルスケアが全世界的に進めているCARESCAPEソリューションの国内での展開を加速し,モニタに加えて無線やネットワークのソリューションを総合的に展開することで,医療全体の質の向上に貢献することを目指す。
●主な特長
1. 15インチの大型ディスプレーに最大8トレースの波形を表示し視認性を大幅に向上
B650には大型の15インチ液晶ディスプレーを搭載,4ch記録器,集合モジュール,2スロット分のモジュールを追加できる。また心電図(ECG),呼吸(RESP),人体の動脈血中に含まれる酸素の量である動脈血酸素飽和度(SpO2),非観血血圧(NIBP),観血血圧(IBP)(最大6ch)など最大8トレースの波形と計測値をクリアに表示でき,視認性を大幅に向上している。
2. 多彩な測定パラメーターを組み合わせ患者の状態を総合的にモニタリング
術中脳波(エントロピー),筋弛緩,呼吸代謝(VO2/VCO2/EE/RQ),エネルギー代謝など検査用途にあわせて最適なモジュールを搭載し,患者の状態を総合的にモニタリングできる。また,手術時には麻酔ガス測定モジュールを接続することで,従来は専用の別モニタが必要だった麻酔ガス情報もB650上に表示可能。単一のモニタ上に必要情報をすべて表示できるため,手術時の麻酔医の負担を大幅に軽減する。
3. マルケットとデーテックスオメダが誇る豊富な解析機能を集約
・12万件以上のデータベースに裏づけされ,全世界で幅広く普及している12誘導心電図自動解析プログラム「12SL」を搭載。女性の急性心筋梗塞に対する解析精度を高める性別考査解析機能や新生児から適応可能な小児心電図解析機能を有し,一段と精度の高い解析が可能。
・心電図解析は4誘導(I II III IV)を同時解析し,電極外れなどが発生しても他の誘導に自動的に切り替え,不整脈を検出する「マルチリード不整脈解析」機能を採用。単一誘導解析と比較して,心室性不整脈の検出感度と検出精度を大幅に向上する。
・血圧測定には,GE独自開発のステップ減圧法(患者の同一血圧値の脈拍を2回検出してから減圧する)に対応したDINAMAP(ダイナマップ)アルゴリズムにもとづく非観血式の手法を採用。確実に血流振動を捉えノイズを識別・カットすることで測定精度の信頼性を向上,未熟児から高齢者まで正確な血圧測定ができるほか,従来困難であった低血圧患者の測定も可能。 |