富士通は,地域の医療機関向けに,SaaS型の地域医療ネットワーク「HumanBridge(ヒューマンブリッジ)」を,販売開始する。
本サービスは,中核病院や診療所,介護施設など,地域の複数の医療機関が個別に保持する診療情報,検査結果,医用画像,レポート情報などの患者の情報を,データセンターを中継し,ネットワーク経由でどの医療機関からも確認できるようにするもので,地域の医療機関は新たにICTシステムを構築することなく,高信頼で安全なクラウド環境のもと,地域全体で患者の情報を共有できる。また,診療所から中核病院への患者紹介や,病院間での入院患者の移動などをスムーズに行うことができる。
これにより,患者は地域のどの医療機関で診察を受けても診療情報が常に安全に共有されているため,質の高い医療サービスを安心してスムーズに受けることができる。
なお,本サービスでは,医療機関の間でやり取りする紹介状や補助資料,返書(報告書),画像フィルムの電子化,およびクラウド環境の利用により,1つの医療機関当たり年間1〜9トンのCO2排出量削減を見込んでいる。
地域の医療機関では,地域住民に対する医療サービスの拡充を図るため,低コストで安全に情報を管理する環境を迅速に構築し,シームレスな地域連携を実現する必要性が高まっている。
同社では,これまでの地域医療連携システム構築の経験から,地域連携には人と人との「絆」「信頼関係」が重要であると考え,地域が一体となって住民の健康・医療・介護を支え合う社会を見据え,「人と人との架け橋」となるSaaS型地域医療ネットワーク「HumanBridge」を販売開始する。
なお,同社では,健康・医療・介護の分野で,小規模から大規模まで全ての医療関連機関向けに,電子カルテシステムや医療事務システムなどをフルラインナップで提供している。同社は本サービスを,国民一人ひとりの健康情報全般を統合する「PHR(Personal Healthcare Record)」,さらには生活情報全般を統合する「PLR(Personal Life Record)」を実現するためのクラウド型のヘルスケアソリューションの第一弾として位置づけている。
●本サービスの特長
SaaS型での利用により,低コストで,短期間に地域連携を実現
地域の医療機関は地域医療ネットワークシステムを新たに構築・保有する必要はなく,インターネットに接続できるパソコン(周辺機器含む)と現在利用している電子カルテシステムを用いて,短期間でサービスの利用を開始することができる。
万全なシステム構成とセキュリティ対策で,患者情報を安心して管理
本サービスでは,電子カルテシステムに登録されている患者の情報を,各医療機関に設置するサーバ(ゲートウェイ)に保持し,同社データセンター(中継センター)とリアルタイムに連携する方式を採用しているため,安心なシステム構成になっている。また中継センターとなる同社のデータセンターは,堅牢なファシリティ管理と万全なセキュリティ対策を施しているため,医療機関は安心してサービスを利用することができる。
標準化技術の採用で,医療機関のマルチベンダー環境下での利用が可能
HL7やDICOMなどの医療情報交換のための標準規格,およびSS-MIX標準化ストレージの技術を採用しているため,各医療機関が異なるベンダーの電子カルテシステムを利用していても,シームレスに情報を共有することができる。 |