オリンパス(株)は,スライドガラス標本をデジタル画像化するバーチャルスライドシステムとして,標本をより広い視野で高解像に取り込める専用光学系を採用し高速・高画質を実現した,「VS800」を2011年6月に発売する。なお,2011年4月28日からパシフィコ横浜で開催される「第100回日本病理学会総会」で,本製品を展示する。
バーチャルスライドシステムは,スライドガラス標本全体またはその一部をスキャンし,デジタル画像としてコンピューターに取り込むシステム。標本をデジタル化することで,複製できない標本や希少な標本などを,褪色や破損の心配なく撮影時の状態をデータとして保存できる。また,ネットワークを介することで,多人数や遠隔地の人が同時に同じデジタル標本画像(バーチャルスライド)を観察できる。
今回発売する「VS800」は,オートフォーカスのスピード向上による撮影時間の短縮と,広い視野を持つ専用対物レンズによる撮影枚数の削減などの結果,バーチャルスライド作成に要するトータル時間(スループット時間)が約90秒/枚という高速化を実現。また,顕微鏡で培った光学技術を生かして設計した専用光学系を搭載することで,隅々まで明るく鮮明な画像が得られる。
●主な特長
1. バーチャルスライド作成に要するトータル時間(スループット時間)を大幅に短縮
ダブルホルダーを搭載した標本交換・搬送システム,リアルタイム・オートフォーカス機能,一度に広い視野が撮れる専用設計の高NA対物レンズの採用で,バーチャルスライド作成に要するトータル時間を大幅に短縮し,約90秒/スライド(15mm×15mm)を実現。また,本体には一度に300枚の標本をセットできるので,大量のバーチャルスライドを効よく短時間で作成できる。
2. 色再現に優れ,周辺までムラがなくクリアで高精細なデジタル画像を実現
専用対物レンズと専用高演色白色LED・照明光学系により,色再現に優れ,隅々まで明るく鮮明な画像を取得できる。
3. 操作手順に従うだけで高品質なバーチャルスライドが簡単に作成できるナビゲーション機能を搭載
「VS800」は,バーチャルスライドを実際に作成する流れ(ワークフロー)に沿った動線で操作できるナビゲーション機能を搭載。シンプルで見やすいナビゲーションに従って操作していくことで,高品質なバーチャルスライドを簡単に作成できる。取り込んだ画像は,マウスひとつで拡大縮小が可能なほか,複数画像の同時表示や表示画像の回転も自在にできる。 |