GEヘルスケアグループ(以下「GEヘルスケア」)の世界中核拠点の1つであるGEヘルスケア・ジャパン(株)は,SPECT装置(単光子放射断層撮影装置)と診断用CT装置(コンピューター断層撮影装置)を一体化したSPECT/CT装置の最上位2機種を,先進の診療を手掛ける大学病院や基幹病院を主対象に発売する。
今回発売するのは「Discovery NM/CT 670 Pro(ディスカバリー・エヌエムシーティー・670プロ)」と,その派生型「Discovery NM/CT 670(ディスカバリー・エヌエムシーティー・670)」の2機種で,Discovery NM/CT 670 ProはDiscovery NM/CT 670に高画質と低被ばくを両立させる画像再構成技術を搭載した装置。
Discovery NM/CT 670 ProとDiscovery NM/CT 670は,診断用CTを組み込んだSPECT/CTとしては同社初の製品。最大の特長は,これまで相反関係にあった画質・検査時間・被ばく量を総合的に改善し,画質を高めながら短時間かつ低被ばくでの撮像を実現した点である。
臨床的には,診断用CT装置の高精細な形態画像とSPECT装置の機能画像を重ね合わせることで,病変部の位置と機能をクリアに描出できるため(下図参照),脳血管障害や心疾患,がんの早期発見などにより高い有用性を誇る。
Discovery NM/CT 670で撮影した画像(甲状腺全摘後の左頚部に集積)
SPECT/CT装置はSPECT装置とCT装置の撮影を一度に実施するため,これまでにも「撮影時間が長い」「被ばくが増える」「操作が煩雑」などの課題があった。理想は高画質を保ったまま高速かつ低被ばくの撮像を簡便な操作で実現することだが,画質・検査時間・被ばく量の3要素はどれかを優先すれば他の2つに響くという相反関係にあるため,すべてを同時に向上させることは実質的に困難だった。
そのような中,Discovery NM/CT 670 ProとDiscovery NM/CT 670では,臨床用装置としては現在のGEヘルスケア製CTの主流を占める先進の16列マルチスライスCT「BrightSpeed(ブライトスピード)」(2006年発売)と,新開発の検出器と撮影技術を搭載したSPECT装置を組み合わせることで,これらの課題を総合的に克服,短時間かつ低被ばくでの高画質撮像を実現した。
●Discovery NM/CT 670 Pro/Discovery NM/CT 670の技術的特長
1. 新開発の検出器とデータ変換システムによるノイズの低減で高画質を実現
SPECT装置には,新開発のElite NXT(エリート・エヌエックスティー)検出器を搭載,内部の光電子増倍管や電気回路を一新することで従来に比べて電気ノイズを削減し,画質の向上と高い安定性を実現した。またCT装置では新開発データ変換システム(DAS)の採用で従来に比べてノイズを最大3割削減,さらなる高画質化を達成している。
2. SPECT装置搭載の新ソフトウェアと検査全体のワークフローの改善で検査時間を半減
SPECT装置とCT装置による一連の検査の中で最も時間を要するのがSPECT装置の撮影だが,画像処理用ソフトウェア「Evolution(エボリューション)」を搭載することで,従来と同等の画質を維持したまま,代表的検査時間をこれまでの15分から7分半に半減した(同社比)。また,SPECT検査とCT検査を一元管理し,それぞれの検査への移行や患者の位置合わせなどを一段とスムーズにすることで検査全般の効率を向上,検査開始から終了までの総検査時間も半減している。
3. 体型に合わせたX線量の自動制御で被ばくを削減
CT装置に患者の体型に合わせてX線量を自動制御する機能を搭載,照射するX線量を従来の一定方式に比べて約60%削減しする。さらにDiscovery NM/CT 670 Proでは,トレードオフにある高画質と低被ばくを両立するGE独自の新画像再構成技術「エイサー(ASiR:Adaptive Statistical Iterative Reconstruction)」を搭載,画質が同等であればさらに約40%の被ばく量の削減が可能(同社比)。
4. SPECT装置とCT装置の撮影画像の一括処理で画像処理時間を短縮
従来の重ね合わせ用SPECT/CTでは,SPECT装置とCT装置の撮影画像を複数のアプリケーションで処理していたが,Discovery NM/CT 670 ProとDiscovery NM/CT 670では,体動補正,画像再構成,吸収補正,位置合わせなどの煩雑な画像処理を一括で自動処理できるようにした「Volumetrix MI(ボリューメトリックス・エムアイ)」を搭載,画像処理時間の大幅な短縮を実現している。
* 画像処理は核医学装置ワークステーション「GENIE-Xeleris」(薬事承認番号:20700BZY00161000号)によって行われる。 |