GEヘルスケア・ジャパン(株)は12月4日(土),GEヘルスケア製MRI「Signa(シグナ)」シリーズのユーザーである放射線科技師・臨床検査技師が,その撮影テクニックを競う「Signa甲子園2010」(MR Signaユーザーズミーティング・全国大会)を下記の通り,秋葉原・UDXカンファレンス(東京都千代田区)にて開催した。
MRIの撮影画像は技師のテクニックに依存する面が大きく,同社では撮影技術などの情報交換や交流を目的にGE MR Signaシリーズのユーザーが集う「Signaユーザーズミーティング」を全国各地で開催している。さらに,各地のユーザーズミーティングがさらなる交流を図り,多くの放射線技師に日本の最先端の撮像技術を身につけてもらうために,ユーザーズミーティングの全国大会である「Signa甲子園」を2005年から実施している。6回目にあたる今回の「Signa 甲子園2010」では,180名を超える全国のSignaユーザーの出席のもと,地方予選を突破した12名および前年優勝者枠1名の13代表が撮像の技術や画像の美しさなどを競った。実力伯仲する各代表の白熱した闘いの結果,最優秀の金賞には,大阪大学医学部附属病院 上口貴志氏の「心電図同期T1強調スピンエコー法のコントラスト改善法」が選ばれた。
金賞: |
大阪大学医学部附属病院 上口貴志氏
発表演題:「心電図同期T1強調スピンエコー法のコントラスト改善法」
発表要旨:スピンエコー法は現在においてもT1強調画像を得るための重要なパルス系列である。しかし,心電図同期下ではTRがRR間隔により決定されるため、多くの場合、TRが延長し十分なT1コントラストが得られない。スライス計画に工夫を加えることにより縦磁化を制御し、実効TRをRR間隔の約半分まで短縮させることでT1コントラストの改善を実現した。 |
銀賞: |
焼津市立総合病院 宮阜、一氏
発表演題:「描出困難な血管への挑戦〜 Adamkiewicz血管異常〜」
発表要旨:Adamkeiwiczなどの描出困難な造影MRAでは,血管が細く,造影剤到達のタイミングの予測が困難で良好な画像を得ることが困難なことが多い。撮像時間とk-space充填法,造影剤の注入方法に工夫を加えることで,安定して良好な画像を得ることを実現した。 |
銅賞: |
社会医療法人禎心会病院 土田修氏
発表演題:「脳表 〜畳と静脈血は新しい方がいい〜」発表要旨:通常の脳表(SAS)撮影では,撮像時間が長く,また,後処理が必要となり手間もかかる。非造影の3D TOF法を使用し,コイルのセッティング位置やスラブの厚み,スラブ間のギャップに工夫を加えることで,脳溝と脳表静脈を1回の撮像でより容易に描出することを実現した。 |
金賞を受賞した大阪大学医学部附属病院の上口貴志氏は,「チーム一同で日々努力を重ねてきたことが,このような形で報われて大変嬉しく思います。この結果に慢心せず,これからも一段と研鑽を積み重ね,患者さんのために役立てるよう,さらなる技術向上を図っていきたいと思います」と,喜びの気持ちを語った。
その他,Signa甲子園2010の第一部では,磐田市立総合病院・寺田理希氏,市立旭川病院・川崎伸一氏,横浜栄病院・高橋光幸氏の3名から,心臓や循環器の撮像を中心とした「新アプリケーションの使用経験」と題する特別講演があった。また,第二部のGE Healthcare Japan最新技術発表会では,同社MRセールス&マーケティング部の池田陽介氏から,11月28日から12月3日の期間米国シカゴで開催されたRSNA(北米放射線学会)で発表されたGEヘルスケアの新技術などをいち早く紹介した。
●Signaユーザー向け会員制ウェブサイト
「Signa ・る(シグナル)」(https://gecommunity.on.arena.ne.jp/signa-l_entrance/index.html) |