日本メジフィジックス(株)は,放射性セシウム(137Csなど)による体内汚染の軽減を効能・効果とする医薬品「ラディオガルダーゼ® カプセル500mg」(以下,「本剤」)について,10月27日付で製造販売承認を取得した。
本剤は,開発者であり,また諸外国において製造供給実績のあるドイツのハイル(Heyl)社との提携により,日本メジフィジックスが日本において本剤を輸入販売するもので,販売体制が整い次第発売する予定。
放射性セシウムは,原子力関連施設における廃棄物などに含まれているために,災害時において被ばく原因となるリスクがある。また,医療用(癌治療の放射性線源)や工業用(滅菌や測定)などに広範に使用されている放射性同位元素のひとつ。放射性セシウムによる被ばくが発生した場合の体内汚染軽減のためには,出来るだけ短時間の内に本剤を経口投与することが望ましいことから,今後,国内各地域の緊急被ばく医療対応機関,災害拠点病院等での備蓄の推進が期待される。
本剤は,国際的には,米国において Strategic National Stockpileの制度に基づき国家備蓄が開始されているほか,世界保健機関(WHO) においても Essential Medicineの一つとして備蓄推奨のリストに上げられるなど,標準的な放射性セシウム体内除去剤として位置付けられている。
一方国内では,厚生労働省による「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において,関係する学会等からの導入要望を受け,今回迅速な承認取得に至った。今後適切な備蓄体制を推し進めるための制度的な枠組みについて,原子力災害対策あるいは国民保護計画の観点から新たに整備されていくことが望まれる。 |