GEヘルスケアグループの日本法人であるGEヘルスケア・ジャパン(株)は10月7日(木),外科用デジタルCアーム装置(デジタル・モバイル・サージカル・イメージング装置)「Brivo OEC 850(ブリボー・オーイーシー850)」を発売する。
Brivo OEC 850 は,米ゼネラル・エレクトリック(GE)が昨年5月に立ち上げた医療戦略「ヘルシーマジネーション」をもとに開発され,先ごろ第三者機関によるヘルシーマジネーション認証を獲得した初のOECシリーズの装置。最大の特長は,透視画像の画質とX線照射量を的確にバランスさせる新機能の搭載で,高画質撮像と低被ばくを両立させるとともに,整形外科での臨床使用に最適な操作性を実現したことである。
脚の付け根の骨が折れてしまう大腿骨頸部骨折は,高齢者,特に女性の骨粗しょう症有病者に多く発生し,その原因は転倒によるものがほとんどであるといわれている。発生件数は2007年で14万8,100件と,わずか5年間で約1.3倍に上昇しており,また厚生労働省の統計では,骨折は脳血管障害,衰弱についで,高齢者が寝たきりになる原因の第3位となっている。
大腿骨頚部骨折は,合併症併発を防いで下肢機能の良好な回復を得るため,多くの場合手術が施されるが,QOL(Quality of life)への関心と患者意識が高まる中,特に高齢者にはできるだけ身体への負担が少ない低侵襲な治療が求められている。そのため,外科手術時の長時間や複数回にわたるX線透視撮影時にも,的確な治療に不可欠な高画質の撮像に加えて,低被ばく化へのニーズが高まっている。しかしながら,従来の整形外科向けCアーム装置は,トレードオフの関係にある画質とX線照射量をバランスさせることが難しく,画質を高めようとすればX線照射量が増え,逆にX線照射量を抑えれば画質が粗くなっていた。
Brivo OEC 850では,X線の発生・検出から画像の収集・処理までの各段階において,画質とX線照射量のバランスを取りながら画像を最適化する「イメージチェーン(Smart Definition Image Chain)」を搭載することでこの課題を克服。低線量を保ったまま,上位機種と同等レベルを誇る1000×1000の高解像度撮影を実現する。また,従来機種では画像を表示するモニターの解像度が低く,高解像度画像を撮影しても正確にモニターに反映できなかったが,Brivo OEC 850では1280×1024の高解像度を実現した19インチ液晶モニターを搭載,撮影画像を忠実にモニター表示できる。
加えて,従来機種ではCアームの開口径や深さ,回転角度が整形の臨床ニーズに対応できないことがあったが,Brivo OEC 850では開口径78cm,深さ66cmのCアームを搭載し,回転可能角度も左右ともに205度と臨床に十分な機能性を確保。この高い機能性のおかげで撮影部位の簡便かつ迅速な位置決めが可能になり,手術時に的確なX線透視画像を提供できるようになる。
これらの高画質と低被ばくの両立,ならびに整形外科での臨床応用に最適な高い機能性の搭載で,長時間のX線透視や複数回の撮影時にも迅速かつ的確に位置決めができ,かつ高精細画像を少ないX線照射量で撮影可能になる。その結果,手術時の的確な術者支援を実現し,特に増加傾向にあるシニア層の骨折の低侵襲治療に貢献する。
●その他の特長
- 医療用画像通信プロトコルの標準規格DICOM(ダイコム)に準拠したほか,CD/DVD/USBといった記録装置を標準装備し,画像などのネットワーク送信やペーパーレス化に対応。画像データを的確に管理・共有できるようになり,術後スクリーニングやカンファレンスなどの効率性向上に貢献
- 無停電電源装置(UPS)の搭載で,突然の停電や手術室で頻発する電源コンセントの抜けなどのアクシデント時にも安全停止が可能。患者情報の臨床画像の保護に加えて,システム自体の破損防止に寄与
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