富士フイルム(株)は,先端部に深部組織への侵襲を抑える「絶縁チップ」を搭載し,安全性と操作性をさらに向上させたディスポーザブル高周波ナイフ「SAFEKnifeV」「SAFEKnifeH」を,9月10日より富士フイルムメディカル(株)を通じて発売する。2品種とも,患者の身体的負担が少ない治療法である内視鏡的粘膜下層剥離術(以下,ESD)用処置具で,「SAFEKnifeV」は病変部に対して垂直方向に,「SAFEKnifeH」は同部に対して水平方向にアプローチする手技に適している。
ESDは,食道・胃・大腸の内側の粘膜層にとどまっているがん組織などの病変部を,開腹することなく内視鏡で観察しながら,病変部の粘膜下層を切開・剥離する手技で,患者の身体的負担が少ない低侵襲治療法の1つとして注目されている。しかし,ESDは,手元操作でスコープ先端と処置具を正確にコントロールしながら,処置具の先端部に高周波電流を通電させて病変部を切開・剥離するなど,非常に高度な技術が要求される治療法。このため,医療現場からは,安全で使い勝手の良いESD用処置具が求められている。
●主な特長
【共通の特長】
先端部に「絶縁チップ」を搭載することで,粘膜下層の下の筋層への通電を抑制。せん孔の危険性を低減し,ESDの安全性を向上することができる。
【「SAFEKnifeV」の特長】
病変部に対して垂直方向にアプローチする手技に適した処置具。病変全体を確認しながら,より安全に処置できる。
先端部の平板電極や棒状電極に通電して,粘膜層および粘膜下層を切開できる。
先端部は可動式になっており,棒状電極をシースに収納すれば,平板電極のみを通電させることが可能。横方向にスライドさせながら,粘膜下層をスムーズに剥離できる。
【「SAFEKnifeH」の特長】
病変部に対して水平方向にアプローチする手技に適した処置具。特に,管腔が狭い大腸や食道などのESDでの使用に適している。
水平方向からアプローチしやすいよう,先端部の形状をデザイン。前方に押したり,左右に動かしながら手前に引いて,粘膜下層の剥離を円滑に進めることができる。 |